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ミシュガルド一枚絵文章化企画2
「怪獣おねえさん」作:新野辺のべる(9/18 19:15)

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 今日の怪獣予報によると、朝からヒドい怪獣らしい。せっかくの休日が台無しだ。しかたない。家で大人しくしてよう。
 テレビを付けるとちょうど怪獣予報がやっていた。丸印に怪と書かれた予報円がミシュガルド大陸の地図の上に書かれている。これは怪獣の予想進路図だ。
『本日の朝9時、ミシュガルド大陸南部より、南東方向へと飛行していた怪獣8号ですが、現在は進路を東へ変えている模様です。気象庁によりますと、午後になればミシュガルド北部へ移動する可能性が高いとのことです。それでは、現場からの中継です。怪獣おねえさーん』
 怪獣おねえさんと通称されているが、本名はわからない。モンスター研究という趣味が高じて、最近怪獣予報士の資格まで取得したおねえさんである。目隠し用とそろいの青い帯でポニーテールを結っている。戦闘服の上に防刃性の高い胸当て、いかつい装備なのにゆるフワな雰囲気。今日もカメラに向かって笑顔を向けている。
「ご機嫌よう、こちらは怪獣の勢力圏でございますー」
 画面いっぱいに映されたお姉さんが笑顔でそう答えると、カメラはズームアウトしていき、お姉さんの後ろに怯える開拓者たちと荒れ果てた耕地も映される。
 そこは、平野だった。見渡す限り、何もない。カメラが上方を映すと、その平野の上空から怪獣8号が飛来する。
「では、さっそく撃っちゃってみますわ」
 おねえさんは対モンスターライフルを構えて狙撃した。怪獣は撃ち落され地に伏すと、恨みがましい雄叫びを上げる。すると、おびただしい数の羽の生えたモンスターが降り注いだ。
 怪獣おねえさん大ピンチ。
 その時、開拓者の一人がマントを脱ぎ捨てた。赤いビキニアーマーのエルフの少女がハルバードを振るう。精霊戦士のビビだ。
 一人だけではない。開拓者に扮した精鋭たちが、その擬装を解いていく。
 怪獣予報で怪獣の進路が分かるのだから、対策は容易かった。進路上で一番人口の少ない場所を戦場に選び、あらかじめ開拓者たちを避難させておく。あとは開拓者に扮した精鋭たちが待ち伏せするだけ。
 彼らは手に武器を持ち、モンスターに向かっていく。シャウルは魔法の火弾を打ち出し、レダは回復魔法でサポート、ジテンは斬りかかる。そしてヒャッカは雷撃をモンスターに落とした。
 怪獣8号はモンスターたちを見捨てて逃げ出そうとするが、同じくらい大きい巨人が押し留めた。復活した機甲闘人ブシンラインである。ブシンラインは怪獣8号の首根っこを掴んで、そのまま地面に叩きつけた。
 そこに短剣が飛ぶ、ブシンラインが激突する、ビビが弾き飛ばした砂礫が降り注ぐ。全員で猛攻撃を加えた。
 最後の仕上げにシャウル、レダ、ヒャッカが協力して豊穣の神カーリマーターを召喚する。カーリマーターの光が広がると、怪獣のせいで荒れ果てた耕地を肥沃な大地へ変えていった。開拓者に対するアフターフォローもばっちりである。
 ブシンラインの必殺武器、黄金に輝く光の剣を繰り出し怪獣8号を爆砕した。光の破片となった怪獣は消え去り、世界は今日もまた救われたのである。
「すごいですー! 8号もやられちゃいましたわ。今日の天気は怪獣のち血の雨でした」
『それでは、次は明日の天気予報です!』
 おねえさんの予報は終わっていた。
 テレビにカメラに怪獣予報。人類は怪獣に対抗する術を手に入れた。しかし油断してはならない。いずれ第二第三の怪獣が現れるだろう。予報にもそう出ている。

       

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