Neetel Inside 文芸新都
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バイクを走らせていた真節は、道端にバイクを停めると、耳の奥から聞こえる(雑音)に
意識を集中させる。
音がいつもより大きい、近くだ。
腰に力を込めるように意識を集中させると、真節の腰に幾何学模様が施され、中央に
赤い宝玉のはめ込まれたベルトが出現する。
それに合わせて、真節の乗っていたバイクが赤い光に包まれ、市販のバイクから
生物的な赤いバイクへと変化する。
真節は、生物的な姿へと変化したバイクに乗ると、耳の奥から聞こえる音が示す位置を
目指して走り出した。

アウターサーチャーの警報を聞き、警視庁の地下駐車場に高梨が駆け付けた時には
G-6装着員、朝比奈、館塙は既に地下駐車場に揃っていた。
「未確認生命体処理班出動…と言いたい所だけど、その前に。」
高梨は、仮設本部車の前に並んだ皆の前で咳払いを一つして
「以前より上層部に申請していた、仮設本部車の正式コードが認可されました。
 以降、仮設本部車は、登録コード ライドベース と呼称します。」
未確認生命体処理班の面々が乗り込んだライドベースが地下駐車場から出発した。

ライドベースの中で、いつもの様にベルトを装着し、デルタチェイサーに跨る朝比奈。
「デルタチェイサー射出。」
高梨の指示に従い射出されたデルタチェイサーが、いつも通りライドベースに先行し
朝比奈が仮面ライダーストームへと姿を変える。

その頃、アウターサーチャーに示されたアウター出現予測地点には、真節が到着していた。
出現予測地点は、大きなターミナル駅の近くの陸橋の上…。
陸橋の柱の影から、二足歩行のネズミの異形が姿を現す。
突如現れた異形に驚き周囲に人々が逃げ出す中、じっと立ちつくす真節のベルトに付いた
赤い宝玉が光り、真節の姿を異形の戦士へと変化させる。

異形の戦士へと変化した真節は、ベルトの宝玉の前に両手を構え、意識を集中させる。
赤い宝玉が光り、異形の戦士の両手に、真紅の刀身を持つ半月型の短刀(※3)が現れる。
ネズミの異形は、両手の爪を細長い剣の様に伸ばし、異形の戦士に向けて構えをとる。
異形の戦士が、同じ種族では無い事―敵―である事を相手の動きから認識したからだ。
異形の戦士も、短刀を構えたまま暫くネズミの異形と向き合い、間合いを計っている。

先に動いたのは、ネズミの異形の方だった。
ジリジリと短刀を構えたまま詰め寄る異形の戦士。飛び上がり、異形の戦士の
背後に着地するネズミの異形。
異形の戦士の背後に着地したネズミの異形は、瞬時に向きを変え、剣の様な爪で
異形の戦士の背中に斬りつける。
「ぐあっ」
異形の戦士の背中に火花が飛び散り、異形の戦士はネズミの異形の爪を避ける為
足に力を込め軽くステップを踏む。
ネズミの異形の爪の間合いから離れながらネズミの異形の方へ身体の向きを変える。
ネズミの異形の爪の長さは約1メートル。それが、相手の間合いだ。
躊躇せずに、相手の間合いに飛び込む異形の戦士。
ネズミの異形は、左右から斬りつける様に爪を動かす。短刀で、左右から迫る爪を
防ぎ、爪のに短刀を滑らせながらネズミの異形との距離を詰め、ネズミの異形の
腹に軽く跳び蹴りを食らわせる。
蹴りを受け、よろめいたネズミの異形の身体に両手の短刀を上段から交差する様に
斜めに斬りつける。
ネズミの異形の身体に、X字の形に火花が走る。
その場に膝を突くネズミの異形。
異形の戦士はネズミの異形から2~3メートル離れた所まで下がり、構えをとる。
異形の戦士の足下に金色の紋章が浮かぶ。

「真節―――。」

銀色の鎧を装着した戦士が、戦いの場に到着したのはその時だった。
名前を呼ばれて、声のした方を振り向く異形の戦士。
銀色の戦士は、異形の戦士に軽く頷く。
異形の戦士も銀色の戦士に対して軽く頷き、飛び上がった。
「うぉおおおおおおっ!」
空中で、身体を一回転させ、ネズミの異形目がけて蹴りを放つ異形の戦士。
ネズミの異形は、爪を身体の前方で交差させ蹴りを防ごうとするが、蹴りの
威力は強く、ネズミの異形の爪を砕き、ネズミの異形の腹部に異形の戦士の
蹴りが命中する。
ネズミの異形の腹部、蹴りが命中した箇所に、異形の戦士が構えを取った時に
異形の戦士の足下に浮かんでいたのと同じ、金色の紋章が刻まれ………。
金色の紋章が浮かび上がった箇所から発生した青白い炎が、ネズミの異形の身体を
瞬時に包む。
ネズミの異形の身体を包んだ青白い炎が、ネズミの異形の身体を灰に変え
灰が、硝子の破片の様に細かい粒に砕け散り空気中に溶け込んでいく。
「アウター8号撃破確認。」
銀色の戦士のヘルメットに内蔵された通信機を通して、高梨課長の声が
朝比奈に伝わる。

       

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