Neetel Inside 文芸新都
表紙

【18禁】ちんちん小説集
漫才師ペニス

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「他で誘われてます」と相方のデニスが言い出しても私は動じなかった。
「お前のツッコミは俺のボケに対してしか生きへんわ」
 中学時代の部活の先輩後輩の関係でずっとやってきた。私のちんちんネタと、デニスの巨根を活かしたツッコミと。それだけで十五年やってきた。

「先輩のちんちんネタが一級品なのは分かってますよ。でもね、このままじゃ一生テレビにも出られない、動画もあげられない。劇場でも煙たがられる。現地に足を運んでくれる熱心なファン頼みじゃ、食っていけないんです」

 痛いところを突かれた。しかし私はちんちんネタ以外書けないでいた。いや、昔の私なら、ちんちんだけではなくいろんなネタも書けていたのかもしれない。ちんちんを他のことに置き換えるだけで良かったのかもしれない。しかしこの道を長く歩き過ぎた。何を見ても何に触れても、全てがちんちんに繋がってしまうようになった。

「安定期に入ったので打ち明けますが、妻のお腹の中に子どももいるんです。いつまでも売れない芸人のままではいられんのです。先輩も、いつまでもちんちんちんちん言ってないで、方向性を変えるか、別の道を歩んだ方がいいんじゃないですか。それでもちんちんネタを続けたいっていうのなら、規制の緩い投稿サイトとかで毎日書いていてください」

 私は言い返すことができなかった。いつからだろう、ちんちんネタで客を笑わせる、ではなくて、どれだけちんちんネタを続けられるか、に目的が変わってしまったのは。親と一緒に来た子どもにだけちんちんネタが刺さって爆笑している図は、本当に私が求めていたものだったのだろうか。老若男女ちんちんで爆笑をしている姿なんて、遠い夢だと、見る前に諦めてしまっていたのだ。

「相方を変えたからといって、売れるとは限らんぞ」
 私はそんな言葉をデニスにかけたいわけではなかった。
「もうネタ合わせしましたよ。天下取れますよ」
 最後に一発、とすがる私を捨ててデニスは出ていった。

 私と組みたいという相方は誰も現れず、私はピン芸人になった。デニスは新しい相方と組んで売れ始めており、初めて出演したテレビでも話題をさらっていた。新しい相方はひたすらうんこネタを披露していた。

「本日がピン芸人としてのデビューとなります、近藤ちんぽこ(本名)さんです、皆さん拍手をお願いします!」
 劇場の司会が私を紹介するも、拍手はまばらである。私はこの日のために書き上げていた、ちんちん以外のネタを頭の中から抹消する。スポットライトが照らす舞台に出る前に、一枚ずつ服を脱いでいく。全裸となった私のちんちんはぎんぎんになっている。相方に去られて、いや、捨てられたのか。一人になってずっと考えていた。やっぱり、好きな道以外は進めない。ちんちん以外のネタを書くのは苦痛だった。この道を、これまで以上にとんがって進んでいく。テレビも動画も諦めて私はすっぽんぽんで舞台に出る。
「ぎんぎん芸人の近藤……」
 一言喋り終える前に、スタッフに引きずり降ろされた。
 
 私は全ての劇場に出入り禁止となった。ついでにバイトもクビになった。だからこうして毎日ちんちんネタを書き続けている。

       

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