Neetel Inside 文芸新都
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StrikeField
To 利便時

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#7 ++利便時

真っ白な空間。太陽の光が白い部屋をより美しく、眩しく輝かせる。
今は使われていないのであろうフロント用の机。
そこはまさしくブルーチーム側の復活<リスポン>と開始<スタート>ポイントだった。

埃の光の反射でないものが部屋の中心に集まり、
少しづつ大きくなり、まるで木の生長の仕方を倍速にして見るかのように、
下から上へと伸びていった。

「死んだのか・・・。」
ぼそっとつぶやいてみる。
間違いなく相手はすでにこの部屋にいる。
待ち伏せでもしてるんだろうか。

今までの通り愛銃グロックを壁から取り出す。
ゆっくりと伝わる重み。黒光りする鉄の塊。

私は銃をドアの向こう側へ向けながら、かつてどこかのドラマで見たような
特殊部隊の動きを使って、ドアの死角に隠れる。
いったい、どこが便利なのかはよくわからない。
だけれども当時の私にとって、それは脳裏に焼きつくほどの綿密な動きに見えた。

そんな事を考えていると、ゲームで聞いたある言葉を思い出した。
「足音には気をつけろよ。敵はそこまで耳が悪いわけじゃない。」
同じ言葉を私は口に出し、壁に向かって数発撃った。
銃から放たれる光<マズルフラッシュ>。
その眩さに私は感銘を覚えた。

銃声のエコーの途中に、
どすんと、音がすると、私は銃を下に下ろし、安全装置を付けた。

「後ろにも気をつけるんだな?」
・・・しまった。何故敵を一人だと考えたのか。
また勝ちが遠のいていく・・・。

「うわっ!」
またどすんと音がした。
後ろにはニヤケたデブが血まみれの拳銃を持って立っていた。
そして最後に一言、
「よし、殴り殺したから5ポイントだ」
とだけ言った。笑いながら。

       

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