長らく映画を観ていると妙な映画に出会うことがある。
エンディングでゾゾンがゾンビ~♪と間の抜けた「ゾンビ音頭」が流れ出す『ゾンビ・オブ・ザ・デッド2(※1)』や、上映時間80分のうち20分がエンドロールの『ジュラシック・シャーク(※2)』なんかがそうであった。
本作では、そうした妙な映画や妙な映画体験について綴っていこうと思う。
私が初めて妙な映画に出会ったのは『ウルトラ兄弟vs怪獣軍団』という作品であった。物心ついた時には、この映画のVHSが家に置いてあり、当時ウルトラマンが好きだった幼稚園児の私は、狂ったようにこの作品を観ていた。
しかし、この映画、タイとの合作映画であり、ただのウルトラマン映画ではなかった。そもそもタイトルにあるウルトラ兄弟なんかはラスト20分ほどにしか登場せず、主人公はハヌマーンという白い猿のような神様なのだ。
物語はタイに住む少年コチャンが、仏像泥棒を発見し追跡するも、銃殺されてしまうところから始まる。この銃殺シーンが中々のトラウマモノで、小学3,4年生くらいの少年が額から血を流して「ギヤァアアアアアアアア」と叫んで絶命するのだ。
その後、コチャンは、その正義の心からハヌマーンとして現世に蘇り、仏像泥棒たちに復讐する。「仏さまを大切にしない奴は死ぬべきだ」と、仏像泥棒を掴んで握りつぶしていたのをよく覚えている。
復讐を果たしたハヌマーンは、その後、暑さに倒れた友人を救うために、追うと瞬間移動する謎の花を採りにいったり(この花を採るシーンが、高熱にうなされているときに見る夢のような演出で、見ていると気分がみるみる悪くなったのをよく覚えている)、地球に近づきすぎた太陽に直談判し、地球から離れさせたりと、怪獣に関係ないシーンが続く。 ようやく怪獣が出たかと思えば、ウルトラ6兄弟とハヌマーンの前にはなすすべもないようで、何の苦戦もなく怪獣がリンチされて映画は終わる。
ちなみに、この映画、続編があるようで、その名も『ハヌマーンと5人の仮面ライダー(※3)』。何とも節操がない。
私が本格的に映画を観るようになったのは、大学生になってからであるが、その時に観たある作品が、私の映画観を狂わせるようになる。その作品の名は『アタック・オブ・ザ・キラートマト』。トマトが人を襲うカルト映画である。
アタック・オブ・ザ・キラートメイトゥ~♪の歌から始まる本作は、ツッコミが追い付かないくらいツッコミ所に溢れた作品(巨大トマトが人を襲うシーンで台車が見えている、トマトの中にスパイとして潜入したエージェントがケチャップを使ったことでスパイと見破られ襲われる、突如として家具店のCMが挟まる……などなど)で、当時、キューブリックやノーランの映画を嗜んでいた私には、クオリティの高低差で完全に気が触れてしまい、アルバトロス(※4)やDEEPRED(※5)の作品に手を出すようになり、感性が完全に狂ってしまったのであった。
私は妙な映画を観た!!
かくして私は妙な映画を観る
※1 ゾンビ・オブ・ザ・デッド2
マイケル・J・ヘイン監督
ゾンビ・オブ・ザ・デッドとは何の関係もないゾンビ映画。
まともな人間が視聴に耐えうるクオリティをしていない。
※2 ジュラシック・シャーク
ブレット・ケリー監督
サメ映画であるがサメがほとんど出てこない。出てきても資料映像のようなサメ単体の映像がほとんどで、クライマックスでようやく人間とサメが一つの映像に映る。
一時期、ニコ生で狂ったように上映されていたので被害者もとい鑑賞したことがある人も多いかと思われる。
※3 ハヌマーンと5人の仮面ライダー
私は未鑑賞だが、過去の映像を継ぎはぎして無断で作成した映画らしい
※4 アルバトロス
映画配給会社。主に“C級”と言われるクオリティの映画を配給している。たまに“Z級”レベルの作品を配給する、かと思えばたまに素直に面白い作品を配給することもあるので油断ならない。
※5 DEEPRED
アルバトロスを遥かに下回る、まさしく“Z級”レベルの作品を乱発していた配給レーベル。そうしたZ級映画にメチャクチャな吹替えを乗せることで、独自の面白さを開拓することに成功した。ゾンビ・オブ・ザ・デッドも本レーベルの作品。
極まれにハロウィンのような往年の名作をリリースすることもある。
マイケル・J・ヘイン監督
ゾンビ・オブ・ザ・デッドとは何の関係もないゾンビ映画。
まともな人間が視聴に耐えうるクオリティをしていない。
※2 ジュラシック・シャーク
ブレット・ケリー監督
サメ映画であるがサメがほとんど出てこない。出てきても資料映像のようなサメ単体の映像がほとんどで、クライマックスでようやく人間とサメが一つの映像に映る。
一時期、ニコ生で狂ったように上映されていたので被害者もとい鑑賞したことがある人も多いかと思われる。
※3 ハヌマーンと5人の仮面ライダー
私は未鑑賞だが、過去の映像を継ぎはぎして無断で作成した映画らしい
※4 アルバトロス
映画配給会社。主に“C級”と言われるクオリティの映画を配給している。たまに“Z級”レベルの作品を配給する、かと思えばたまに素直に面白い作品を配給することもあるので油断ならない。
※5 DEEPRED
アルバトロスを遥かに下回る、まさしく“Z級”レベルの作品を乱発していた配給レーベル。そうしたZ級映画にメチャクチャな吹替えを乗せることで、独自の面白さを開拓することに成功した。ゾンビ・オブ・ザ・デッドも本レーベルの作品。
極まれにハロウィンのような往年の名作をリリースすることもある。