どの世界にもぼんくらな奴というのは一人は居て、私もその一人だったんだけれども。ホラー映画の世界のぼんくらは、これまたどうしようもない。
『死霊の盆踊り(※1)』という映画がある。これはもう映画自体がどうしようもないので、出てくる連中もどうしようもない。
話の筋はこうだ。主人公とその恋人が運転をする車が事故に遭い崖から転落。目覚めると死霊たちの宴を発見。それを覗いていると死霊たちに見つかり、死霊たちによって縛られ強制的に死霊たちの踊りを見せつけられる、というものだ。この踊りというのが映画の9割くらいを占めており、裸の女が現れては踊り、終わったと思ったら新たな女が現れ踊り……が延々と続く。映画も終盤になると、死霊たちが主人公を襲おうとするが、朝日が差し込み死霊たちは全滅するのだから、どうしようもないぼんくらである。
この死霊連中にセリフがあるのだが、それもどう見てもカンペを見て喋っているので、元々の俳優連中からしてぼんくらなのが伺える。
『スクリーム(※2)』を初めて見た時に、殺人鬼であるゴーストフェイスが被害者となるキャラクター達を襲う際、結構な抵抗をされていたのを見て、ぼんくらだと思ったことがある。中身がただの人間なので仕方がないとはいえ、『新13日の金曜日(※3)』のジェイソンも同じく、ただのおっさんが中身の割に頑張っていたことを考えると、もう少しやれたはずである。それでも、『死霊の盆踊り』に比べると、なんとホラー映画然としたキャラクターであったことか。申し訳がなくなる。
『処女の生血(※4)』という映画に出てくる吸血鬼ドラキュラもまたぼんくらであった。映画自体の出来は『悪魔のはらわた(※5)』のポール・モリセイ監督ということも悪くない(なんとアンディ・ウォーホルが監修もしている!)。だが、このドラキュラが見てて哀れになるほど、どうしようもない奴なのだ。
この映画のドラキュラは「処女の生血」しか吸うことが出来ないらしく、もうずっと血を吸えていないために病人のごとくふらふらとしている。わざわざ故郷のルーマニアを出て、イタリアくんだりまで処女を探しにやってきて、ようやく没落貴族の4人娘にターゲットを絞るのだが、実はこの娘たちが下男と既に関係を持っていて非処女であった。そうとは知らずに娘の一人の血を吸ったドラキュラは、哀れにもピーマンのように顔色が緑色になりゲロゲロと吐き出してしまう始末。別の娘ならと血を吸うも、その娘も非処女でゲロゲロ。最終的に14歳の娘なら処女だろうと狙いを定めるも、処女の生血を狙うドラキュラであることを下男に看破され、血を吸われる前に処女で無くしてしまえばいいと、下男が娘とセックス。哀れすぎるドラキュラ伯爵。床に滴った破瓜の血をペロペロと舐める始末である。
吸血鬼映画は数あれど、ここまで哀れなぼんくら吸血鬼はいないだろう。最終的に五体を斧でぶった切られて絶叫する様は、こいつそんな悪いことしたか?と観る者の同情を誘う。
私は妙な映画を観た!!
ぼんくらモンスター
※1 死霊の盆踊り
監督:A. C. スティーヴン
タイトルの通り、盆踊りレベルのしょうもない踊りを見せられるだけのホラー映画。史上最低の映画とも言われ、史上最低の映画監督エド・ウッドが脚本を務めている。
※2 スクリーム
監督:ウェス・クレイヴン
主人公シドニーの住む町「ウッズボロー」で起こる連続殺人を追う、ホラー映画あるあるが詰め込まれたスラッシャー映画。
※3 新13日の金曜日
監督:ダニー・スタインマン
前作で殺人鬼ジェイソンが死に、シリーズ完結したため、ジェイソンに扮した殺人鬼の正体を追うサスペンス要素が含まれる物語となる。
シリーズとしては不評に終わり、次作でジェイソンが復活することとなった。
※4 処女の生血
監督:ポール・モリセイ
処女の生血を求めては失敗する哀れすぎる吸血鬼映画。
※5 悪魔のはらわた
監督:ポール・モリセイ
男女の人造人間を造り、その人造人間同士にセックスをさせ新人類を造ろうと企む博士。しかし、材料の死体にゲイの死体を使ってしまったせいで、上手くセックスをしてくれず…という、異色のフランケンシュタイン映画。
監督:A. C. スティーヴン
タイトルの通り、盆踊りレベルのしょうもない踊りを見せられるだけのホラー映画。史上最低の映画とも言われ、史上最低の映画監督エド・ウッドが脚本を務めている。
※2 スクリーム
監督:ウェス・クレイヴン
主人公シドニーの住む町「ウッズボロー」で起こる連続殺人を追う、ホラー映画あるあるが詰め込まれたスラッシャー映画。
※3 新13日の金曜日
監督:ダニー・スタインマン
前作で殺人鬼ジェイソンが死に、シリーズ完結したため、ジェイソンに扮した殺人鬼の正体を追うサスペンス要素が含まれる物語となる。
シリーズとしては不評に終わり、次作でジェイソンが復活することとなった。
※4 処女の生血
監督:ポール・モリセイ
処女の生血を求めては失敗する哀れすぎる吸血鬼映画。
※5 悪魔のはらわた
監督:ポール・モリセイ
男女の人造人間を造り、その人造人間同士にセックスをさせ新人類を造ろうと企む博士。しかし、材料の死体にゲイの死体を使ってしまったせいで、上手くセックスをしてくれず…という、異色のフランケンシュタイン映画。