あとがき


あとがき。


 この小説は一応、時代小説という区分に入ると思います。しかしまあ、我ながら随分と無茶のある脚色をしてしまったので(時代小説におけるある程度の脚色は勿論必要だとは思ってますけども)、言い訳の意味もこめてここでちょっとした解説を。


・登場人物について

 エルナン・コルテス。世界史の教科書にも出てきます、言うまでも無く実在の人物です。スペインで法律家を志すも挫折し、キューバに渡り植民地経営に参加。キューバ総督の部下として、500名ほどの兵を率いて新大陸の「探検」を行います。マヤの部族群やアステカ帝国を征服し、インカを滅ぼしたフランシスコ・ピサロと並んでコンキスタドールの代表的な人物として歴史にその名を残しました。人となりについては、完全に僕の妄想です。ケツァルコアトル神の化身を騙ったというエピソード(これは史実)から、ケツァルコアトルのシンボルである蛇のイメージでキャラクターを設定しました。

 マリンチェ。この人も実在の人物ですが、その経歴は本作品とはかなり異なります。史実では、彼女は没落したアステカ貴族の娘で、マヤの豪族のもとに連れて行かれその妾となりました。そこにコルテスのスペイン軍がやってきて、マリンチェは今度は献上品としてコルテスに供されます。マリンチェはその生い立ちから、ナワトル語(アステカ語)とマヤ語の両方が話せました。そのときコルテスの軍にいた通訳、ヘロニモ・デ・アギラール(彼は修道僧で、マヤの奴隷になっていたところをコルテスに助けられました。)はスペイン語とマヤ語が話せたため、この二人を通じてコルテスはアステカ人と意思疎通をはかることが出来たのです。後にスペイン語もマスターした彼女は、コルテスの愛人兼通訳として、その征服事業に大きく貢献しました。彼女とコルテスの子孫は今もなおメキシコに住んでいます。裏切り者と称されることも多い彼女ですが、最近ではフェミニズムの観点からその不幸な境遇に同情の意見も多いとwikiに書いてた。

 モクテスマ二世。1519年、コルテスがテノティチトランに入城したときのアステカ王です。
コルテスをケツァルコァトルの化身だと勘違いし、彼に国を明け渡す約束をしますが、その弱腰が反感を買って殺害されてしまいます。アステカの民は新しい王を戴いて一度はコルテスを敗走させることに成功します。しかしその二年後、5万のスペイン軍とアステカに対立する部族の軍勢を率いて再び攻めてきたコルテスの前に、アステカは滅亡することになります。

 クパァ老。言うまでも無くどうみても完全に架空の人物です。

 マンコ。ご想像にお任せします。





・文化や世界背景について

 このお話の舞台は十六世紀の初頭、いわゆる大航海時代というやつです。モーニングでやってる『チェーザレ』と大体同時代ですね。コロンブスの新大陸発見、ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見、マザランの世界一周。航海技術が発達もあって、人々は富を求めて世界を駆け巡りました。この時代の主導権を握ったのはポルトガルとスペインの両国。ポルトガルは主にアジアとの香辛料貿易、そしてスペインは黄金を求めて新大陸の征服にその力を傾けました。この時期に、武装した人員を引き連れ、南北アメリカの諸部族を征服した者たちのことを、コンキスタドール、征服者と呼びます。このころの新大陸、アステカ・マヤ・インカの文明レベルは、西洋のそれに比べてかなり低いものでした。鉄器や乗用家畜はおろか、車輪や文字すらも存在しなかったのです。インカではキープと呼ばれる道具、連ねた紐の結び目を使って、簡単な記録は行っていましたが。)彼らはスペイン人の使用する馬、銃、鉄の武具の前に、なすすべもありませんでした。新大陸で大勢力であったのは、現在のメキシコ中部を中心に栄えたアステカ、ペルー高原を中心としたインカです。ユカタン半島周辺のマヤは、分裂を繰り返し小国家群となっていました。他にも多種多様な部族国家がありましたが、いずれもそれほど大きな勢力ではありません。インカとアステカの間の交流は、文献資料が存在しないためはっきりとした証拠はありませんが、中間にあるマヤ国家群を通じてある程度の人の行き来はあったんじゃないでしょうか。
 アステカ、インカはともに生贄を捧げる習慣がありました。アステカにおいては神殿で生きたまま心臓を取り出し、インカでは酒を飲ませて雪山に置き去りにしたそうです。ですが、作中におけるアステカの生贄の儀式の手順は僕の創作で、実際とはかなり異なると思います。インカの生贄が子供の頃から大事に育てられる、というのは資料見て調べましたが、男が生贄にされることは多分無いと思います。インカの氷漬けミイラ何回か見たことがありますが、全部少女でしたし。
 他にも色々あやしいとこありますが、気付かないふりをしてやってください。


 さて、こんな下ネタ小説の、更にあとがきという私のオナニーにまで付き合ってくださった愛すべき読者の皆様。飽きっぽい私が完結までこぎつけられたのはあなたたちのお陰です。本当にありがとうございました!

                                   漫☆小太郎