Neetel Inside 文芸新都
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家に到着し、無事帰宅した。
俺は早速シャワーに入り、パジャマに着替えて自分の部屋に入った。
鍵を閉めて、とりあえずテレビの電源をつけた。

なにやら速報がやっていたので、それに目を通した。
実況の声が部屋に響いて聞こえていた。

「・・・だいま横浜のほうに中継が繋がっております。
話によりますと、同日同時刻に47都道府県全体で一斉に事件が発生した
模様です。 実況の田中さん?」

「・・・はいここ横浜で、みなとみらいにある交差点で事件が起きました。
状況は詳しくは分かりませんが、上空ヘリからの映像によりますと、
でかでかと赤い・・・情報によると確かではありませんが、血です!
血文字で、でかでかと「10」という字が書かれております!
現在事件の詳しい詳細を調べていますが、なにもわかっていない模様です。」

俺はまだあまりテレビの内容には反応していなかったものの、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
47都道府県全体で一斉に事件が発生したと言う事が頭に残っていた。
つまり・・・島根にもおきたかもしれないと言う事だ。
それでも尚特に驚きもせず、ただただテレビを見ていた。

「え~・・つ、次のじょ・・じょ・・情報・・・です・・。」

可哀想に、あまりの事に声がどもっていた。
女子アナウンサーの中でもベテランで有名なこの女子アナでさえ
数え切れない残虐な事件を報道したこの人でさえ、臆病者と化している。
少し興味が湧き始めた。悪い方向ではないが、良い方向でもない興味に。

「先ほどから続々・・と情報が・・・いままで報道した関東地方での事件は
全て一致していました!日本は島国で、世界から見たら小さい上、
関東地方のみでありましたら犯行は単独でも・・・素人の意見ですし、
こんな事をいうのは私は初めてですが、不可能ではないと思います・・。
しかし!この続々と来る情報からして、全国でこの同事件が発生したのは
あきらかです!なんなんでしょうかこれは!?何が起こっているんで・・・
・・し・・・失礼しました・・・引き続き・・・情報をお送りいたします。」

アナウンサーもあまりの恐怖にトチ狂いそうになったのであろうか。
先ほどまでの俺の余裕さは無くなっていた・・・。
通常は俺はこんな時にこそ実況スレに飛び込むが、そんな余裕さえ・・・
訂正しよう。そんな考えなど起きもしなかった。
俺はこのニュースに釘付けになっていた。

「え~・・・只今私が持っている情報を報道いたします。
島根県のスクランブル交差点にて、またもや血文字で「10」
の文字が書かれております・・・実況はつながれない状況であります。
申し訳ありません・・・続いて・・・・・・」

的中してしまった・・・・・やはり島根にも・・・・。
その時、脳裏にあの事が蘇った。
・・・・・・・・・ ・・・・・
スクランブル交差点、実況不可能・・・。

まさか・・・。
まさか・・・・・。
美容院から帰る途中にあったスクランブル交差点であった事件は・・・。

もしかするとまだ犯人はココにいる可能性があるかもしれない・・・・。
その瞬間、玄関のベルが鳴った。
体が跳ね上がるような恐怖では無かった・・・・。
普通は宅配便と考えるであろうが、この時の俺の精神状態は異常であった。

下には母親と弟がいるため、瞬時に恐怖は和らいだが、まだ緊張していた。
ここでようやくパソコンを立ち上げようと頭の中でふと考えた。
別にそれをしたからって、良い方向に行くわけが無いが、気休めだ。
ともかく俺はテレビを付けたまま、ノートパソコンを開け、電源を入れた。


・・・が・・・・。

       

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