Neetel Inside 文芸新都
表紙

終焉の銀河へ
刺客現る

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リュウヤは細い路地を風のように走っていく。その途中、リュウヤは急に立ち止まり目を閉じて耳を澄ませた。

「男が男のストーカーするなんてな……目覚めちまったのか?」

誰も居ないはずなのに、リュウヤははっきりと言い放つ。
すると、物陰から一人の男が姿を現した。あからさまに怪しい黒服の男だった。

「よくわかったな……正直驚いたよ」

リュウヤは不敵に微笑み、地毛である自身の淡い栗色の髪を触る。
鋭く研ぎ澄まされた瞳は、男の背後の存在を探っているかのようだった。

「殺気がすごいんだよ。まぁ、8割カンだがな」

男は懐に手を入れ、二本の短剣を取り出し一本をリュウヤに投げる。
短剣を受け取り、とっさに状況判断をする。

「お前に恨みが無いんだが、こっちとら仕事でね」

リュウヤは、男が抜刀し銀色の尖ったものを見たことに対し、少しも臆せずに笑う。

「野蛮だなぁ……剣なんか触ったこと無いよ」

そう言いつつリュウヤは柄に手を伸ばし、鞘をすばやく抜き払った。

「俺は容赦なんかしないよ?自分の命を"賭けてる"んだからな」

口元が緩んでいるリュウヤを前に、黒ずくめの男は少しおびえている。
何と言ったってこの状況で臆さずに向かってくること自体、男には予想外だった。
リュウヤは一瞬のうちに間合いを詰めて、斬りかかる。
それを間一髪でかわしたのはいいが、すぐに二発目の蹴りが腹に重たくヒットする。

「ぐぅ……」
「てっきり殺しのプロかと思ったよ……でも弱いね。おじさん」

男は顔を赤らめて、リュウヤに斬りかかる。しかし、リュウヤは軽がるその攻撃を避け、反撃で剣で鋭く突く。
なんとか男は剣で防ぐが、威力が想像以上にあり剣を落としてしまう。
そこを見逃さずリュウヤは男を蹴飛ばし、よろけている時に男の喉下に剣を突きつける。

「残念ながら実戦なら死んでたよ」

笑いながら剣を収め、投げ捨て何も無かったように路地を走り出す。
男は緊張が解けたことにより、失神してしまった。


「かなりの逸材かもしれんな……」

ササキは無表情でつぶやいた。

     

「んっ、ぁんっ。カールお兄ちゃん……気持ち良いよ……もっとしてぇ」
「フランシス……ここもうこんなになっちゃってるよ」

液体が物にこすれて、いやらしく音を立てる。フランシスの秘部に、カールの指が出入りする。
そのたびにフランシスは、泣き出してしまいそうな表情をさらに愛らしく崩す。
桃色の長く両サイドで束ねてある艶のある髪に、綺麗に澄んだ大空のような瞳。
鼻にかかったような甘い声で、短いがはっきりとした喘ぎが聞こえてくる。

「カールお兄ちゃんの……すっごく大きいね」

フランシスはカールのはちきれんばかりのものを見て、嬉しそうに頬ずりする。
カールは優しい笑みを浮かべながら、フランシスの髪を丁寧に愛でる。

「ぁむ……お兄ちゃんの、おいしい」

上目遣いで見上げてくる小悪魔的な表情に、堕ちない男はいないだろう。
と、そんな時フランシスの携帯の音がなった。
残念そうにカールから離れて、通話ボタンを押す。

「もしもし……一体何の用ですか?……大尉」

明らかに上司に向かって不機嫌な声音で話す。彼女はまだ感情をうまくコントロールできないのだ。
大して気にした様子もなく、電話の相手は話を続ける。

「私は今から任務ででかけるの」
「……それがどうなされたのですか?」
「貴方は頭が良いから察すると思ったけど……私の代わりに出勤してほしいの」
「今日はせっかくの休みなんですよぉ……」
「サリーヌ少尉?上司の命令は絶対なのよ」
「はぁい……今から出勤しますぅ」

「フランシス?緊急配備か?」
「うぅん、ミナコ大尉が任務でいなくなるから、代わりに勤務しないとなの」
「ケンゾウ閣下か……俺はあんまり好かないな」

カールは淡い紫色の髪を揺らして、フランシスに近寄り軽くキスをした。
フランシスは身をゆだね、頬を赤らめてカールの額を軽く、人差し指で押す。

「閣下の悪口は駄目だよっ。カール・サリーヌ中尉」
「はっ! フランシス・サリーヌ少尉!」
「なんで階級が下の私に敬礼なのっ。面白い」

フランシスとカールは、顔を見合わせて笑った。



「俺、軍に入る」

マサトは相棒の意外な言葉に、飲んでいたコーヒーを思いっきり吐き散らした。

「何言ってんだよ。何でいきなりそんなこというんだよ」

配られるカードに視線をやりながら、マサトはリュウヤにたずねる。

「軍の病院にユウカを入院させたいんだ……」
「なるほどな……あぁ、負けた……」

マサトは持っていたカードをディーラーに返し、涙目でリュウヤを見た。

「俺も軍に入ろうかなぁ……」
「馬鹿言え。負けた分、取り返してやるよ」

リュウヤはマサトの隣に腰掛けた。すると、その横に金髪のサングラスをかけた女性が立ちふさがる。

「こんにちわ。お手合わせ、いいかしら?」

リュウヤはその女性を一目見、不敵な微笑を浮かべ周囲に目をやる。
そして、予想は当たっていたみたいで余裕そうな表情で答える。

「どうぞ。……お手柔らかにお願いしますよ」

       

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