-クリスマス 終章-
「私の退屈な話につきあってくれてありがとう。少年よ」
「いえいえ、こちらもいい暇つぶしになりました」
「おじいちゃーん」
七歳児くらいの男の子がこちら、いや、"おじいちゃん"の方に駆け寄ってくる。
そして、おじいちゃんにだきついた。
「ま…孫!?久しぶりだ。大きくなったな」
おじいちゃんと呼ばれた老人はひ弱だが、はっきりと聞こえる声を発した。
「お父さん。なぜだか急にクリスマスイヴから連休が貰えたのでこっちに来ました」
老人にお父さんといっているのだから、この男性は老人の息子だろう。
息子は老人に話しかける。
「なぜだ?仕事はとても忙しいから、お盆休みも貰えないと聞いたが?」
「はい。僕もとても不思議なんですよ」
「せっかくの休みなのに、私の元に帰郷することは無いだろう。この馬鹿息子」
父と子、老人と孫の父の会話。
俺はその会話を後ろに去っていく。
本当にこの日は親が自分の愛するいい子である息子にプレゼントを与える日になってしまった。
俺の活躍する場所がないじゃないか。
しかし、今日は久々に活躍することができた。
老人……いえ、あなたの息子は真面目に働いています。いい子ですよ。
自分の息子くらい、いい子だとほしいと思って、老人にささやかなプレゼントを贈った。
ハッピークリスマス