Neetel Inside 文芸新都
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オレとティンコ
俺とティンコ

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「やあ一郎、私はお前のティンコです」

夢を見ているのかと思った。もう一度布団の中にくるまってみる。
母親に買ってもらった良い毛布の暖かい感触が心地良い。
だが、朝の寒さからくる足先の痛みに眠気は得られない。

「おい一郎、夢じゃないんだぞ、起きろ」
「………」
(声………声?母さんに朝起こされる様な年ではもう無いよなあ。
 妹は居るが俺の部屋に入ってくる事は絶対と言って良いほど無いし、
 父さんはたまに週末に帰ってくるぐらいで殆ど会社が家みたいな………)

妙に冷静な夢心地から驚いて目を覚ました。恐ろしい現実に覚まされた。
どうしてこんな早朝からこの部屋に声が響くのか。自分で声でも出しているのか。
いや、そんな筈はない。体を起こし、どこからか聞こえてくる聞き覚えの無い声を必死に探す。
だが何処を見渡しても人影は見えない。どうも声は自身の下半身から聞こえてくる様だった。

「ティンコだ、お前のティンコだ」

まさかと思いながらも、その声は弁を重ね続ける。私はお前のティンコだ、お前の下半身だ。
声が出ているのも確かに俺の下半身からの様だった。信じられはしない。
だが、バサッと布団をめくった自身の下半身からは、確かに大きな声が聞こえてきた。

「お前は誰だ」
「お前のティンコです」
「布団の下にでもマイクが………」
「嘘じゃないんだってば、ほら」

ティンコはさも「私だ」と言わんばかりに根元からグルッと二周してみせた。
眩暈がした。今にも我が子供が危険な目に合わんとした時に起こしそうな眩暈だ。
これは現実なんろうか………人並みに頬を捻ってみる、ヒリヒリと痛い。
ズボンをゆっくりと脱ぐ。自慢にも大きいとは言えないティンコがそこに生えている。
だが、今なら別の意味で自慢ができそうだった。
潤いを感じさせる目。口から吐き出された息が熱を持って太ももに触れる。
亀頭についた目はギョロリとこちらを向く。耳もついている。音も聞き取れている。
不幸中の幸いか、以前として仮性包茎だったのは安心できた。

       

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