ようやく学校の校門を抜け出し、周囲の絶対零度視線に何とか耐えながら、
オレは家までの帰路を残り半分としていた。今必要なのはクスリである。
学校を無断早退とか、どう見ても変質者とか、近所付き合い終了とか、
そんな事はどうでも良いのである。街が終了してしまうのである。

「あと100mぐらい………後少しだ………っんんああああああ!」

数える程にまで縮めた距離を、一歩一歩と確実に踏みしめていた時だった。
オレの家がボンヤリと遠くに見えていたその時だった。
突如後方から、オレの尻穴に向かって何かが突撃したのだ。
それは何なのか………?一瞬、完全に真っ白に染まってしまったオレの思考は、
少しずつ色づき出し、ようやく、その答えをその声と共に思い出す。

「よお!何ケツをヒョコヒョコさせながら歩いてんだよ!」
「ま、松村………くん………あんっ!やっ!」

松村くんの浣腸だ!オレの頭の中の頭脳連合は一斉に答えを出した。
彼はクラスの不登校児だ………といっても、苛められてたとかでは無く、
あまりの馬鹿ヤンキー具合に誰もが愛想をつかして無視されていたらだが。
今みたいに浣腸をしたり、スカートをめくったり、黒板消しトラップをやったり、
体は高校生、頭脳は小学生みたいな、どっかの探偵みたいな奴なのだ………。

「ままままま松村くん………!そ、その指を!」
「どうした?まさか気持ちいのかよ!はははははは!」

き、気持ちいじゃなくて!もし指を抜いたら、おまえの肉体が四散するんだよ!
………いや、こいつにその事を言って理解できるのだろうか?
図工の時間、ノコギリで自分の足を危うく切り落としかけた様な奴だ。
万が一ではあるが、最悪、日本語を理解していないという危険性もある。
こ、ここは必然的かつ、近所の野良犬でも解りやすく、言わなければ………。
間違いなく、指を抜いてしまえば、街の破滅なのだから。

「ま、松村くん!指を抜かないで!」
「へ?なんで?」
「あ、あのね、オレの家までね、指をケツに入れたまま行くの。
 面白そうでしょ!ね?ね?」
「………」

さ、流石に突拍子無さすぎたか………?

「おもしれえ!それ!まじおもしれえ!」

………馬鹿で良かった。