Neetel Inside ニートノベル
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 しかし、すぐさま、
――ブ―ン。
 脳に染みるような超低音が響き、空を移動していた僕の体が、気流に煽られた飛行機のようにぐわんと傾ぐ。
 何が起こったのか、疑問に思うよりも先に、何の前触れもなくひどい頭痛が始まった。
 吐き気までしてきて、タケコプターを操る思考が安定しない。
――ブーン。
 恐らくはこの低音が原因なのだろうが、それがわかったからと言ってどうということでもない。僕は糸の切れたマリオネットのように、右に左にと無秩序に飛び、しだいに勢いと高度を失っていった。
 頭痛はどんどんひどくなり、意識が途切れそうになる。
 完全に勢いを失い、ふらふらと痙攣するような不安定さでもって、ゆっくりと地上に近づく僕。飛行どころか手足を動かすこともままならない。
 地面に足が触れるなり、そのまま僕は地面に倒れこむ。
 受身なんて取れるわけもなくて、僕は為すすべも無く地面に叩きつけられ、体がばらばらになるんじゃないかっていうくらいの痛みと衝撃が全身を駆け抜けた。
 アスファルトの上みたいだけどここはどこだろう。
 騒ぎにはなってないみたいだけど近くに人はいなかったのかな。
 この辺りはまだ田舎だからみんなすぐ家に帰っちゃうもんなぁ。
 遠くから、走ってくる足音が聞こえた。
 タイムパトロールだろうか。
 起き上がって逃げようと思ったけど四肢は微かに震えるだけ。
 視界はぐらぐらと不安定に揺れ、かろうじて繋いでいた意識もすでに途切れようとしていた。
 近づいてきた誰かに体をゆすられる。
 僕は動けない。
 僕は……

 ドラえもん。ごめんね。

       

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