Neetel Inside ニートノベル
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 あの時、
 タイムマシンが使えなくなったあの時、

 白のノイズに辺り一帯を覆いつくされて一瞬だけ気絶した僕は、
 気付けば自分の部屋にいた。

 そして、不意に

「え?」

 声が聞こえた。

「どうして?」

 そんなの僕にもわからない。

「そんな――」

 道具の影響で痺れて動かない体を無理やりに動かして
 あの時とっさに伸ばした手が、

「のび太くんだ」

 ドラえもんの細い腕をつかんでいた。
 どうして彼女が向こう側に送られなかったのかはよくわからない。僕と触れていたせいで境界があいまいになっていたのかもしれないし、向こうにいた期間より、こちらにいた期間が長かったからなのかもしれない。
 だけど、そんな理屈なんてどうでもよくて、
 ただ、
 泣きそうな顔の彼女が、
 僕の大事な人が、
 すぐそばにいることが嬉しかった。

「さよならなんて簡単に言うなよ」

 頬を伝うものを止められないままそう言うと、
 彼女は傷だらけの僕を抱きしめた。

「馬鹿だなぁ君は」

 震える声で、彼女が笑った。



 fin

       

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