Neetel Inside 文芸新都
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過去の東京
玉縄城

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「結局・・ガハッ全速で・・・ウプッ走ったじゃ・・・走っちゃったじゃないですか・・・ハァハァ」
「月が出てなかったら真っ暗じゃないですか!」
引越しの準備に時間のかかりすぎた僕と清兵衛は走りに走って玉縄城下に着いた。
『まぁそういうな。早く屋敷とやら探そうぜ。荷物が重くてかなわん。』
よくよく見てみればすごい量の荷物を持ってきていることに気付いた。
その中には清兵衛=それ、といってもいいほどの金色の鎧が荷物の頂上に臨んでいた。

「あれじゃないですかね。」
玉縄城に程近い武家屋敷の近くにたった一つ光がともっていない家があった。
『たぶんアレだな、荷物置いたら玉縄城に挨拶しに行くぞ』
見つけるや否や清兵衛はそういった。
「氏勝様のとこじゃないんですか?」
招待されたのは氏勝なんだから、氏勝の元に行くのが一番先だと思っていたが、清兵衛の話を聞いて納得した。
『いや、玉縄城主は氏勝様の祖父の綱成様だからな』
そういやそうだな。あれ・・?じゃあ・・・。
僕→殿(清兵衛)→大殿(氏勝)→大大殿(綱成)→超殿(氏康)?
超殿ってなんだよwwwwwwwww
『錯乱すんな。行くぞ。』
「・・・ハッ!わかりました」

二人で玉縄城に登城した。
もちろん門番に止められた。
でも清兵衛が『氏勝様に呼ばれて今日引っ越してきたもので金馬清兵衛といいます。』
この一言で門番は大きくに頷き、「ようこそ玉縄城へ、中で北条綱成様、氏勝様が待っています。」
そういうと、門番の一人が案内してくれた。

一際大きな襖の前にたどり着き、案内役の門番が報告する。
なにやらでかい声が聞こえる
「氏勝様の家臣。金馬清兵衛他一名お連れしました。」
「うむ。通せ。」
野太い声が襖越しにつたわる。
襖が開くと、正面にごつくてガチムチの大男が座っていて、その手前に正面の男に負けないぐらいの大男が座っていた。
「よく来たな。俺が玉縄城城主こと北条綱成だ。向かいに座っているのが孫の氏勝だ。」
なるほどこの男が戦場を駆け抜けたらたちまち恐怖に駆られることだろう。
綱成と向かいに座っていた男もこちらに体を向けて
「おう!清兵衛よく来た!改めて紹介された玉縄城主こと北条綱成が孫の氏勝だ!」
なるほど。なるほど。声でかい。
襖から氏勝まで10mぐらい離れてるのにこの声のでかさはどうだ。
イヤホンで音楽聴いてるやつと話している感じがするほどの声量だ。
「後ろの坊主が文字が書けるとか言ってたやつか。なかなか子供にしては利発そうな顔つきをしているな。」
流石は、音に聞こえた超一流の名将。超一流は超一流を知るってやつですかね?
愉悦感に浸っている僕の今の顔は絶対に間抜け面だ。

ここで僕は献上品を差し出そうと一歩前に出てこう言い放った。
「金馬清兵衛が家臣。勝綱弥九郎。献上品を持ってきたので、ぜひとも納めてほしいと思います。」

勝綱弥九郎―――
氏勝と綱成を一文字とって苗字に。
小西行長の名をとって僕の名前にした。
この名前は苗字をどうにでもできることが利点だ。
たとえば北条姓を名乗るときなどは、北条弥九郎勝綱と名乗れるし、他の名前でもあのようにできる。
【勝綱】の二文字は苗字は名前でも使える優れものだった。













お詫び。
北条氏勝は綱成の嫡男ではなく、孫でした。
嫡男は氏繁でしたね。


       

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