Neetel Inside 文芸新都
表紙

我が闘病
第3話

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新しい朝の訪れ


穏やかに眠るその横顔


差し込んだ朝日に目覚めたその瞬間を


僕はずっと見つめていたいのさ


2次へだって行けるんだ きっと虹が掛かるから




-第3話-


「明日2巻もってこようか?」


勝嗣は、毛髪と眉毛と歯と小指の無い男にそう訊ねた。


「いいのかい。ぜひ頼むよ」


僕は立ち上がった。休み時間に、トイレに行く以外に立ち上がることは初めてのことだった。


廊下側の後列2番目の自席を立ち、窓際最後尾でたむろしているヤンキーグループの元へ向かった。


「僕にも、そのDVDを貸してくれないか?」


言ってみた。勝嗣は少し驚いたような表情を見せた。


「いいとも。はい、どうぞ。」


勝嗣は、快くDVDを僕に差し出した。そして、手に取ったDVDのジャケットを改めて凝視した。


名前も知らないこの少女が、愛おしくてたまらない。


彼女の為ならば、この命を投げ出してもかまわない。




「腸(ひろし)君だよね、僕は高木たかしくん、よろしく」


いろいろ必須な物が足りない男は、そう僕に告げた。


高木…どこかで聞いたような名だ。



「僕は山下勝嗣。趣味はゴミの分別だよ」


山下勝嗣…まんまじゃねーか。なんだその趣味は。


「そして彼はポチ男、ちょっと気が弱くて、護衛の為にいつもナイフを持ってるけど、気さくないいやつだから安心してね」


たかしくんが紹介した男は、上半身が裸(今は1月のはずだが)で、ごついサバイバルナイフを舐めながら、


「よろしくね」


と僕に告げた。


見た目は気持ちが悪いが、みんな悪いやつじゃなさそうだ。


「腸(ひろし)君も、ヴァリエール嬢のファンなのかい?」


たかしくんは、僕にそう訊ねた。ヴァリエール嬢…それが彼女の名か…彼女に相応しい、美しい名だ。


「いや…好きというか…」


その時は、なんと言っていいのか分からなかったんだ。


「いいって、照れなくて。でもね、釘宮病には気をつけるんだよ」


釘宮病??それは海樹王の病気??ヴァリエール嬢に夢中で、すっかり海樹王のことを忘れていた。


「釘宮病??それはいったい何なんだ?教えてくれ」


僕はたかしくんに訪ねてみた。その時、


「たかしくん君、そろそろ」


勝嗣が、たかしくんにそう告げた。


「そうか、もう日課の時間か」


????


「僕たちはこれから、マリファナを吸いにトイレに行くんだが、腸(ひろし)君も来るかい??」


「断固、遠慮しておく」


前言を撤回する。やはりヤンキーはヤンキーだ。


「そうか…残念だ」


たかしくんは、そう言い残し、他2名のヤンキーを引き連れ、トイレへ向かった。


30分後、教室に戻ってきた3人組は、なぜか柔道着に着替えており、そのまま「冒険でしょでしょ」を合唱しながら、教室を去った。


後で聞いた情報だが、六本木ヒルズに向かったらしい。


結局、その日は釘宮病について有力な情報を得ることの無いまま帰路へついた。


とにかく、真っ先にDVDを鑑賞することに決めていた。

       

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