Neetel Inside 文芸新都
表紙

日本★分裂
プロローグ

見開き   最大化      

プロローグ
大東亜戦争を境に、日本という統一された国家は消滅した。
ソ連機甲師団の思いもよらぬ快進撃は国境を越えて北海道、さらには東北へと及んだ。
京都、小倉の二大都市を核で焼き尽くされてなお降伏の気配を見せない日本も、本土決戦で列島が火の海と化すことを恐れ、降伏を受け入れた。
戦後、一国のみによる復興ではその国の傀儡国家にされかねないという理由から、日本では分割占領による復興が行われることとなる。
北海道、東北をソ連。
関東以西の本州と四国をアメリカ。
そして、九州をフランス。
それぞれの地域は北日本管区、中日本管区、西日本管区と名を変え、それぞれの主によって復興の道を歩む。
冷戦下、各管区はそれぞれ再軍備を進め、列島には緊迫した空気が流れ続けた。しかし、分断された日本人たちが内戦を許すはずもなく、一部の過激派の活動以外は目立った事件も起こらぬまま時は過ぎた。
1989年、二度目の大戦が火ぶたを切った時から50年が経ち、時代は節目を迎えた。共産主義社会の崩壊。冷戦の終結。占領状態からの解放。
三つの管区はこれを期に歩み寄り、列島再統一への道が開かれた。三管区の足並みを揃えるべく京都に統一政府が樹立、各管区政府は歩調を合わせると思われた。
しかし、現実はそう単純ではなかった。
50年という月日は、管区間に思わぬ歪みを生み出していた。
教育問題、軍事問題、経済問題、歪みは止まるところを知らず湧き出てくる。誰の歩調に合わせれば良いのかも知らず、統一議会は紛糾し続けた。実際、統一政府の権限は無に等しいものだった。
さらに、新たな時代が到来した。
被占領時代に生まれ育った「戦後世代」への世代交代が始まり、それに従うように世論も変化してゆく。
時代は、全く新しい方へと動き始めた。

       

表紙

おやしお 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha