Neetel Inside 文芸新都
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Lei ed un cortile
クラウディ

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「ユウちゃん、私あなたが」
 違う違う違うんだ。少し黙ってくれもう少しだから――ああ、そう。
 忘れてた事を思い出したような、というかアハ体験みたいな、まあ何か天啓みたいな感覚だった訳だ。
 その瞬間私の口は流れるように「嫌いだ、失せてくれないか」って美しい日本語を紡いでいたし、その言葉を聴いてよほど嬉しかったのか、彼女は泣いて走り去った。トイレが近いんだ、きっとそうに決まってる。
 灰色の雲が低く濁りながらうごめいていた。息の詰まるような曇り空だった。私は吹き抜けの中庭から去ることにした。5時間目が始まるんで。あと雨に濡れるのは嫌なんで。私がこの世でただ一つ我慢できんのは雨に濡れることなんで。

 校舎に入り、外靴を脱いだ時点で私は同級生の声を聞いている。それが誰だかも知っているし、"天啓の理由"であることも今さっき理解した。だから陽気に挨拶しようと思ったんだけど、彼女の顔は曇っていた。
「やあユキちゃん! 久しぶりだね、30分ぶりくらいかな? 元気してた」
「ユウ……サトとどんな話したの?」
「どんな話? どんな話だったんだろうか」
「とぼけないでよ! サトはあんたの事を真剣に……」
「アア――それより5時間目が始まる。ほら、あと30……29、28、27。急がなきゃ」
「……放課後、話を聞かせてもらうわ」
 そういえばお昼、食べてないな。

 女子校は退屈よ、って母さんが言ってたけど、私はそうは思わなかったね。中学3年生になってようやく気づいた。来年も女子校が良いですわお母様。そう言ったら、何それ、と母さんは笑ったが。
 どういうわけだか知らないけど、こんな、恋愛をするにあたって窮地に追いやられたような状況(同性しかいないんだ)ですら、告白があったり惚れた腫れたがあるので、人間の適応能力というかそういう物を私はひしひしと感じていた訳だけど、それに加えて今日の放課後には中学生活通算13度目の告白を受けたものだからいやはやと。私は13回フって来たことになる。すげー縁起悪いッス。
 そして、その適応能力っていうのが自分にも例外なく――「ごきげんよう」だって。はいごきげんよう。ごきげんようを使うのは小堺だけだと思っていたので中学1年生の頃はたいそう驚いたんだけど、今となっては当たり前になってしまった。ええと何の話を? そう、適応能力の話。
 私にもその適応能力があったのね。ガールミーツガール、笑いたければどうぞご自由に。

       

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