Neetel Inside ニートノベル
表紙

Cyborg Neet
第一話『Cyborg』

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ピピピ、ピピピピ

時間を設定した 主人に起きろー と目覚ましが鳴り出す

「ふぁ・・・・・・・もう朝か」

ピピピピピ、カチ

バサっと、二度寝したい所を我慢して、勢い良く

布団をのけて、ベッドから飛び出る。


いつもなら、ここで二度寝と洒落込んでいる か

オンラインゲームをする為に、パソコンを起動する所だが

今日だけは、オレは起きねばならなかった。


「ふふ・・・・ふははは」

思わず、顔がにやける

なにせ、今日は待ちに待った 【激アツ イベントデー!】

絶対に、これは勝てる と踏んだ日だ

前日、閉店間際にチェックもしてきた!!

ん?何の話かって?そりゃ、パチンコに決まってるじゃねーか!

っと、早く行かなきゃいかないからすぐに着替えないと!!!

バタバタと部屋を慌てながら、走って着替え、朝食を済まし、

家を後にする。






図師(ずし) 新人(にいと)   これが、俺の名前

19歳  職業:無職

つまり、俗に言うニートって訳だ。

最近じゃ、この名前を 好きになれない自分がいる。

元々、進学何かするつもりがなかった俺には

親父もお袋も既にあの世にいっちまってるし、

姉貴は、何か「世界を回る」とか言って、家を出て

六年ぐらい経った今でも音信不通な馬鹿野朗だ

そんな俺を止めようとする者も居なく、気がついたら、

世間で非難される ニート様 になって一年が立っていた。

一人暮らしだが、それでも生きるのには全く困らない。

ニートと言っても、俺は部屋にずっと引き篭もってる程の

重度ではないし、自炊も勿論、できたりする。


まぁ、そんな俺の唯一の愉しみ が庶民の娯楽「パチンコ」

って訳なんだが、驚くことに俺は殆ど、パチンコで負けた事が無い

多分、馬鹿姉貴のお陰でついた危機感を感じる直感が

超人レベルの域に達しているのだろう  何となく、危ない台とかが

良くは分からないが、分かってしまう。(いや、マジで

先程、金に困ってない とは言っていたが、

実は俺は自分の生計を「コレ」で立てている程だ。

むしろ、ニート というより 俺はパチプロ なんだろうか・・・?






で、






「ハハハハハハ、今日の儲けは 四万四千円 って所か

いやー、やっぱ 【フタキワ】は、良く出る 良く出る」

見事、次のアツいイベントデーまで生き延びれるお金を稼いだ訳だ。

「おし、今日は 気分いいし 晩飯 ステーキ といくか!」

金が入ったので、今日は自分へのご褒美にと 奮発しよう

そう思った、俺は 近所のデパートまで歩く事にした。















- in デパート -

ごろん、・・・・・・・かた

「おめでとう御座います!!!」

―――――――ちりん、ちりん と鐘の音が鳴り響く。


「へ?」

十日分の食料 を買い込んだせいか、福引券を貰える程に

お金を使ったので ポケットティッシュでも貰おうか、と 

重いビニール袋を持って、福引をしてみたが・・・・・

「特賞、おめでとう御座います!!出ました、特賞!!!!」

店員が、鐘をやかましいぐらいに鳴らしながら叫ぶ

「へ?あ、はい」

きょどる俺、  え? マジで?  と困惑する。

「大丈夫ですかー?当たったんですよ!ハワイ旅行が!!」

ちょ、マジかwww

事態に慌てながらも やっと冷静になって、展開を飲み込む。

今日は、人生最高の日だな!

パチもぼろ儲けしたし、福引にも当たるだなんて!!

そう、俺は 心の中で喜んで ガッツポーズを取った。







カツン、カツン

顔をニヤけさせながら、路地裏を通る。

スキップをしたいぐらいの気分だったが、ビニール袋が重たすぎるので

できないし、この歳になってもアレなのでそこは自重する。

「・・・・・・・・・・御主、死相がでておるぞ」

ふと、路地裏で占いをやっている婆に呼び止められる。

「は?」

あまりの突然の事に、驚きつつ横を通り過ぎようとした婆

に声をかけられて 俺は振り返る。

「・・・・・・・・気をつけた方がいいぞ、doom のカードが出ておる

今日は、御主にとって最悪の日じゃ  とっとと、家に帰った方がよい」

それを聞いて、ビニール袋をドサっと落として腹を抱えて俺は笑う。

「ハハハハ、何言ってんだ  今日は、最高の日だぜ!?

アンタ、腕ねぇよw どうせ、エセ占い師なんだろ?じゃな 婆」

唸る占い師を、笑いながら 俺はまた歩き始めた。

―――――――カツン、カツン

やっと、路地裏を抜けて一般の道路が見える道に出る


「お金もあるし、近くまで バスに乗って家に帰るか」

そう呟きながら、近くに見えるバス停まで歩いてバスを待ち

重たいビニール袋を抱えて、来たバスに乗り込む。

ブロロ と、排気ガスを流しながらバスは揺れる。

遅くなってきたせいか、バスには数人しか乗客は居なく

後ろの席はがら空きだった。

「お、ラッキー いつもなら、座れないのにな」

うん、やっぱり 今日は何かツイてるな 俺は

ニヤけながら、後ろの席にドサっと座る。

暖房が効いてて暖かく心地よい

揺れるバスの中、席に深く腰をかけていた俺は、

いつしか瞳が閉じかけていた。

「んー、俺の家まで まだまだ だし、寝てもいいか」

目をこすりつつも、寝ぼけ眼で まぁ、いいか と

手を下ろす、意識が虚ろ、虚ろ となって顔が俯く。

――――プチン、と そこで俺の意識はシャットアウトした


































――――――まぶしい

うぅ と唸る。気がつけば、眩い程の光が目の前にあった。

「―――――っ」

自身を容赦なく照らす白い光に目を細めた。

まぶしい、

実際は、目を覚まして光が目に入っただけだったが、

そんな状況に馴れてなかったらしい。

長い間、眩しいという事を忘れていたかのようにも感じた。

「あ――――え?」

目が慣れて、ようやくぼんやりとしていた視界がハッキリとする。

そして、すぐに ハっとしてビックリした。

見たことも無い部屋で、見たことも無いベッドで寝かされていた。

「・・・・・・・・・ここは、どこなんだ?」

ガバっと、起き上がって辺りを見回す。

そこまで、広くは無い部屋だった

その部屋には、一つしかベッドはなく 

そこに俺は横たわってたようだ・・・・・・・。


色んな機材やら、部品がそこら中にあって散らばっている。

ベッドの横には、机と椅子があった。


ガチャ・・・・と、部屋の奥にある扉が開けられる。

ぼんやり とした目で扉を開けて入ってきた人物を見る。

入ってきた人物は、白衣を着た女だった。

ロングヘアで、眼鏡をかけている  っつうか、いい女だ

俺が、ニートでなければ 口説いているかもしれん

「――――ほう、やっと起きたのか  ふむふむ」

ソイツは、偉そうに俺を見下した目で見ながら、

コーヒーを片手に持って 

ズズっと啜りながら、開口 そんな事を言った。


「――――オイ、ここは どこなんだ・・・

っていうか、俺は何でこんな所で寝ているん・・・・・」


「記憶がないのか?御前は、事故にあったんだ」

「は?」

呆然とする。

事故?いつ、俺が事故にあったんだ?

ってか、俺は何をしていたんだっけ? 頭をガシガシと掻く。


「二年前だ   もう一度言うが、御前は、事故にあった。

御前が乗っていたバスが、衝突事故にあってな その場で炎上

で、御前は左腕がふっとんでる上に、全身火傷の重傷 と来た。

生きているのが、奇跡と言ってもいい、神と私の腕に感謝するんだな」

そう言い捨てて、ズズっと 再びコーヒーを飲む白衣の女

「は?・・・・・・二年も?って、冗談だろ!? オイ!!」

あまりの急な事に、頭が混乱する

ガタっと、ベッドから立ち上がって 裸足で床に立とうとする。


「あー、馬鹿者   立つな   御前の足はまだ・・・・」


「!?」

ドスン と、足が身体を支えきれずに カクっと曲がり

腰が床に落ちて尻餅をつく。

「た、たてねぇ・・・・ッ!?」

後ろを振り向いて、ありえない方向に曲がっている足を見る。


「だから、言ったろう」

―――――――ゴツンッ!

「痛ッ!?」

スタスタ と、スリッパの音を響かせながら近付いてきたかと

思ったら俺の頭を殴りやがったぞ、この女・・・・!?

表情を強張らせながら、上を見上げると  

はらり と、一枚の写真が落ちてきた。

「信じれないなら、それを見ろ それが、御前が事故にあって

すぐ、大学病院に運び込まれてきた時の姿だ  凄いだろう?

誰がどう見ても、助かる見込みがないどころか既に死体と言っても

いいぐらいの姿を御前はしていたんだぞ」

白衣の女は、コーヒーを持って 愉快に笑う。

「!?」

その落ちてきた写真を手にとって、見た瞬間 俺は吐き気がした。

―――――――そこに写ってあるのは、紛れもない焼死体。

顔の皮膚も焼ききれていて、原型すら、分からない

皮が一切、残ってないし 左肩から下が ごっそりと無くなっている。

信じれなかった、というより 信じたくなかった。

この写真に写ってあるのが、俺だと いう事に。


「おっと、吐くなよ?  男なら耐えろ

それと、顔はちゃんと、元通りになっている

現代の整形技術にも感謝しておくがいい」

スっと、そう言いながら コトンとコーヒーをベッドの横の机に

置いて、その場にへたりこんでいる 俺をそいつは、見据える。


「おい、足の神経繋いでやるから 這って腕だけで、ベッドに戻れ

それだけの力は、余裕で搭載してやっているからな

っというか、御前は重い   私じゃ、持ち上げれん」


ガタっと、椅子を引いて座って女は 訳の分からない事を言い出す。

「―――――――足の神経?搭載?一体、何を言って」

言いかけて初めて、自分の身体の異変に気付く

おかしな方向に捻れている己の右足  それと、下半身の感覚が

何か、全然しない   左足だけしか感じない。

「言い忘れていた。

御前は、世間では死んだ事になっている

私が、担ぎこまれた死体を勝手に引き取った 

って事になっているからな。

丁度、一年前に死亡した と放映されたし、友人も見ただろう

っというか、御前 ニートだったんだなww見たぞ、ニュースで

だが、 おめでとう  君は、これで 晴れて無職を卒業だ!

君の仕事は、後々【JOAT】から通告されるだろう。」


「は?ちょっと、待て 俺が死んだって!?

ってか、【JOAT】!!??【JOAT】ってあの【JOAT】か!?」


女は、次々と驚く俺の顔を見てニヒヒ、と不適な笑みを浮かべている


如何、コイツは何を言っているんだ!?

マジで気絶しそうなんだけd・・・  ってか、していい!?


「そう、君は本日付けで その【JOAT】の一員だ

この菅原博士、自慢の最高傑作である【サイボーグ】として

【JOAT】の為にも 存分に、その力を発揮するがいい!」












「ハァッ!?サ、サ、サイボーグ!?」










キィーン と、

木霊するような悲鳴の様な俺の大声が部屋中に、響き渡った。

       

表紙

塩田悦也 [website] 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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