Neetel Inside 文芸新都
表紙

嘘親子×嘘家族
拾い者×広いモノ

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 まぶたが重い。
 起き上がるのがだるい。
 ぶつけたのか、体のあちこちが痛い。
「おい、少年。いい加減起きたらどうだい」
 うるせーなぁ・・・・・・もう少し寝かせてくれよ。
 つーか誰だよ。
 んー、なんか床やらけぇ・・・・・・じゃねぇなー、何これ?布団?
 おかしいなぁ、俺は今れっきとした家出少年で、寝泊りしてた友人の家はとうとう追い出されたから、今のベッドは公園のベンチのはずで・・・・・・
 いやいや、俺今日学校に行ってなかった?んじゃぁーここ保健室か?
 いやいやいや、学校とか途中でフケたじゃん。
 あー、もうわけわかんねぇ・・・・・・、なにがどうなってんだよぉ・・・・・・
「・・・・・・おにーちゃん、死んじゃったの?」
「物騒なこと言うねぇお嬢ちゃん、大丈夫だよ、生きてるよ。
 ほれ、起きろ小僧。女の子が心配してるじゃねぇか」
 脇腹あたりを蹴られる感触がする。いてーなこら、目を覚ましたら一番にこの足の持ち主をぶちのめすことにしよう。
 ん・・・・・・?でもその前の声、なんか聞き覚えあるぞ。
 あー、あーあーあー、思い出してきた、確か俺は学校フケてゲーセンに向かって歩いている途中で―――

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「いんやー!悪いね!うん!俺明人(アキト)のこと好きだよ!親友以上知り合い以下ぐらいに!」
 どのくらいだ。
「家を飛び出して、泊まる場所がないという君の切実な事情は十分、十二分に理解している!だからこそ俺は今まで、炊事洗濯家事全般なにも手伝わない君を黙って寝泊りさせてあげてたんだ!だから、俺の事情を理解して―――俺ん家からでていけ」
 彼はそう言うと、家のドアを閉めて鍵をかけた。

 彼の言う通り、俺は家出中で、彼の家で寝泊まりさせてもらっていた。
 そしてやはり彼の言う通り、炊事洗濯家事全般を全く手伝わなかったが、彼の部屋で寝泊まりさせてもらう代償はしっかり払っていた。
 彼―――豚座 翼(イノコザ 翼)は両親が大学病院の医者らしく、転勤は珍しくないらしい。
 翼はそれに合わせて転校を繰り返していたらしいが、今回は珍しく長く転勤のインターバルが長かったらしく、入学から二年間在籍していた学校を転校したくないということで、今の家に残り一人暮らしをしているという具合である。
 高校生で一人暮らしというのは珍しいが、彼の親には今の家を維持するだけの資金もあるし、一人暮らしをすることで自立心も芽生えるだろうということで承諾されていた。
 さて、話はそれたが俺の彼に支払った代償というのは、だ。
 高校生が一人暮らしをする上での危険性―――、親という制約が外れた場合に性欲溢れる男子高校生が行うこと。
 女の子の連れ込みである。
 それもとっかえひっかえ。
 その事実を彼の両親、そして彼の他の愛人達に黙っている代わりに、泊めてもらっていたのである。
 そんなに遊んでいたら、成績なんかも落ちそうなものだが、そこについては彼は性格に似合わず勉強が得意なので問題ないそうだ。
 故に、その事実を知っているのは寝床を借りるため、夜中に二階の窓から侵入を試みた俺だけということだ。
 だが、その脅しも自称人一倍愛の深い男の性欲の前には一週間ともたなかったようだ。
 以前から目をかけていた女の子がやってくるらしく、いずれ来る災厄よりも目の前の欲望を取り、俺を追い出した。
 まぁ、もともと翼の彼女達や、親の連絡先なんて知らないので大した意味のない脅しであり、それは翼も分かっていたのだろうから、本当は彼の好意だけで泊めてもらっていたから、俺も抵抗せずに出て行ったわけだが。

 さて、仕方ない。
 別にすることもなし。学校に向かいますか。
 俺は駐車場に停めてある相棒―――VF400Fのエンジンをかけて跨った。
 まるで二気筒のようなエンジン音で人気はでず、空冷のCBR400Fが発売されてからは見向きもされなくなった忘れられたバイク。
 それが俺の相棒。
 多摩川沿いの道路を風を受けながらぶらぶらと学校へ向かう。
 普段は遅刻常習犯の俺だが、それはいつも寝ているからであって、こんな朝っぱらから起こされればちゃんと学校に行く健康優良児でもある。
 ただ単純に、こんな時間から開いてる遊べる店がないってだけの話だが。
 バイクを開店前のパチンコ屋の駐車場に止める。
 どういうわけか学校の近くにパチンコ屋が多くあるので、ローテーションで停めれば無断駐車とか罰金喰らうこともない。
 いつもは自分の教室の近い裏門から入るのだが、今日はバイクを停めた場所が正門に近かったので正門から。
 まだ時間も早いからか、いつもは生徒で溢れかえる通学路にも人はまばらだ。
 さてさて、家出3日目にして早速寝泊りできる場所を失ったわけで。
 本日の学校での昼寝の代わりに、そこいらの問題を解決するべく頭を使わなければならないな、昼寝してー。
 とか考えていたら正門が見えてきた。
 ぱらぱらと正門を通り各自の教室へ向かう生徒の中に見知った人物を見つけた。
 舞(マイ)―――俺の姉だった。

       

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