Neetel Inside 文芸新都
表紙

Legend of Metaknight
Stage 1

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 遥か高くに浮遊している巨大戦艦。船首に立つ巨躯の男。全身を黒光りする鎧で固め、顔面には銀の仮面を着けている。その仮面は、視線を確保する為の隙間しか存在せず、顔の表情は読めない。背中に大剣を背負い、その剣は、足まで伸びている純白のマントに隠れ切れずにいた。
 戦艦ハルバード。空に浮かぶ戦艦の中でトップクラスの攻撃性と防御性を兼ね備えている巨大な空母。その総指揮官を務めているのが彼、ヒグィン・アテムである。
 彼が率いる傭兵団メタナイツは、世界でも有数の戦闘集団だ。彼等の軍事力は一国に匹敵する程であった。その理由としては、他の国があまり取り入れていない機械という魔法を使っていたことが1つ。もう1つは、総指揮官であるラテムのカリスマ性であろう。彼には厚い人望と信頼がある。そして、それに答える行為も幾度と無く成しえてきた。戦闘能力もずば抜けており、一騎当千に勝るとも劣らない。
 「全乗組員に伝えろ、ミィピ王国に到着するまでに、全ての武装を解除しておけ、と」
 ミィピ王国とは、世界でも有数の軍事力を誇る王国である。少数精鋭というのがこの国の強み。一人一人が並み成らぬ強さを持っていた。
 そんな所に全武装した大人数が足を踏み入れたとしたら、敵意を剥き出しにされる事は容易に予測できた。しかし、それだけは絶対に避けたいのだ。そうなると彼等の今までしてきたことが水の泡になる。
 「アテム様。只今、王都に着陸致します」
 大きな音を発しながら下降していく巨大戦艦がその存在を隠せるはずものなく、すぐに警備兵がやってきた。
 武器は持たない。きちんと目的を言えば王と謁見が出来るのか。その程度の疑問は、ラテムには存在しない。
 時間は掛かるかもしれないが、確実に会える方法を取るとすれば、今、目の前の警備兵達に自分達の存在を教える事だろう。そして、この国が瀕している危機を逆手に取り、王との謁見をする、というのが第一の関門だ。
 「貴殿等、何用か」
 隊長格と思われる男に声を掛けられる。
 警備兵は一般兵四人と隊長1人の部隊1つだけであったが、この戦艦を見て臆するものが居ないあたり、噂通りの強兵かも知れない。
 「我等は傭兵団メタナイツ。 この国が外敵の危機に晒されていると聞き、参上した次第だ」
 ざわっ。
 兵士達がざわつく。この名前を聞いて、驚かない方が稀だろう。彼等メタナイツの強さは、全世界に知れ渡っている。
 「傭兵か…だとすると、雇って貰いに来たのか」
 怪訝そうな隊長の顔。
 「その通りだ。この国に異変が起こっているのは知っている。それを解決する為に我等は来た」
 彼等にとって外国の人間は警戒しなければならない相手だったが、この国が置かれている状況を考えれば、むしろ、彼等の様な傭兵を雇った方が都合が良かった。
 そう言って、隊長は隊員の一人に目配せをする。目配せされた隊員は、走り出し、城壁の中へと入っていった。そして、またしても兵の一人に目配せをして、その兵は前に出る。
 「よかろう、王に謁見の許可を申請する。 一晩待たれるがいい。それと、すまないが、監視官を付けさせて貰う、気を悪くするな」
 「あぁ、仕方がない事だ」
 そう言って、アテムは自軍の戦艦に戻って行った。

       

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