Neetel Inside 文芸新都
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・・・請負人
お仕事

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ここは俺の家、兼事務所。今、テーブルを挟んで男性と向き合ってる。
彼は意を決したように俺のほうを見てこういった。

「僕を彼女とつきあわせてください。」

別に、俺はこの人が付き合いたいと思っている子の親でもなければ、その本人でもない。
むしろ、この人と顔をあわせるのは今日がはじめてである。
なぜ、俺がそんなことを言われるのか・・・・?

答えは簡単、それが俺の仕事だから。

俺の名前は、夢路 海人(ゆめじ かいと) 24歳
知ってる人は、「夢追人」だの「ドリーマー」だのワンパターンな名で呼ぶ。

お仕事は・・・恋愛請負業とでも言えばいいのか。
内容はカンタン、依頼人を依頼人が好きな人と付き合わせる。以上。
で、恋人になれば、お仕事成功。ゴメンナサイなら、債務不履行って、とこ。

そして、彼がその依頼人。立川さん。27歳。と、依頼書に書いてある。
スーツ姿がしっかりとしている。バリバリのサラリーマンって感じ。
俺もこういう社会で働くまっとうな人になりたかった。話がそれた、戻そう。

「僕が付き合いたいと思ってる人は、会社の後輩で・・・・・」

ここに来る人は思いつめてる人が多く、話も長くなる傾向にあるので、中略。
その人を好きになった理由とかは俺の仕事には関係ないのだよ?
その彼女の魅力とかもイマイチ関係なし。
要点をまとめると。

・ターゲットは会社の後輩、「大石 ミサ」さん。23歳。

・仕事は要領よく、気立てもいいので、周りの男性社員にも好印象。

・依頼人との接点は仕事上での会話が主である。

・彼の持ってきた社内旅行の集合写真から、顔を見ると、肩までの茶髪。かわいい系の人っぽい。
 身長は、150台前半とみた。

・趣味は映画。これ、重要。休日どこにいるかとか、会話の時何を話せばいいかが少し分かる。

割とありがちな依頼かな。2点気になるところはあるが。
要点の2個目、「男性社員のウケがいい?」・・・・・カレ、いるんじゃないの?
ま、それを調べるのも俺の仕事のうちということで、神に祈りながら、保留。

問題はこっち。
立川さんは大石さんと小学校時代の同級生。学年が違えどもご近所さんで割と仲が良かったそうな。
しかし、立川さんは中学1年生になり、小学校の時ほど交流がなくなりました。
大石さんが12歳の時、引っ越してしまい、それっきり。そして、現在会社で会って、びっくり。
普通に考えたら、縁なんだけど・・・・。
立川さん、気が弱いらしく、1回も昔話しなくて、向こうも気付いてるっぽいという雰囲気のままここまで来てしまったそうな。
2人の関係、ギクシャク。気まずいなぁ。

・・・・・これ、かなりマイナスだなぁ。大石さんの立川さんに対する評価下がるだろうな。

でもまぁ、俺の中での依頼を受ける条件は満たしているので、引き受けることにした。


よし、お仕事始めましょう。

       

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