Neetel Inside 文芸新都
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近所をぶらぶら歩いてるだけなのだがぽちはずっとニコニコしている。
何がそんなに嬉しいのだろうか。
やはり犬は散歩がすきなのか。ならたまには散歩に連れてってやるかな。
「綺麗なのです」
背後からぽちの声が聞こえたので振り向くとしゃがんでいた。
なんだ? トイレか?
「お前はもう人間なんだからこんなとこでトイレしちゃ駄目だぞ」
「違いますです! このお花が綺麗だから見てただけです!」
「どれどれ」
道端にぽつんと咲いてる一輪の花。
コスモスですね。
「コスモスだな。うん」
「コスモス……良い名なのです」
道端にしゃがんで一輪のコスモスを見つめる男とゴスロリ少女。
へ、変態だー! って言われても言い逃れできない気がする。
「また見に来ましょうなのです」
満足した様子で立ち上がるぽち。
よかったよかった。今は周りに人がいないけどいつ通りかかるか分からないからなぁ。
「わんわん」
「ちょ、長老!」
突然ぽちが叫んだ。やめなさい近所迷惑でしょ。
あ、こっち見た。さっき誰かこっち見た。
ところで長老ッテ誰?
「わんわん」
どう見ても年老いた犬です。本当にありがとうございました。
「ご主人様、この方はわんわん協会の会長なのです。わんこには畏敬と尊敬の念をこめて長老とお呼びしているのです」
「わんわん」
如何にもという風に鳴くこの犬はどう見てもただの犬にしか見えない。
ていうかワンワン協会って何してるんだ一体。
不思議だ。世の中には不思議な事がいっぱいあるんだなぁ。みとぅお。
なんだかぽちは長老と話し込んでいるようなのでぼっーとつったてることになった俺。
第三者の目で見たらどうみても変な人にしか見えないよね。
暇なので何か面白いものはないかと見渡してみたらいた。
巫女服姿の人とメガネかけてる人。
それと妙にテンションの高い女性にメガネの人に抱きついてはなれない女性。
耳を澄まして聞いてみる。大丈夫だ。いける頑張れ俺。
THE・盗み聞き。
「さーくんあっそぼーよ!」
「駄目だ。俺はこれから教師の試験だ」
「理ーなんでメガネなの?」
「それは勉強のし過ぎでメガネになっただけだ。というか帰れ」
「はぁはぁ理さんの匂い理さんの匂い」
若干ぽちっぽいのいるな。
というかあの巫女服の人凄いな。さっきから壁歩いてるよ壁。
どうやったら壁歩けるようになるんだ。俺の目かおかしいのだろうか。
いや、絶対歩いてるよ。壁に垂直だよ。
「兄さーん!」
なんか、イケメンな人がメガネの人に抱きついてる。
兄弟なのか。あのメガネの人モテモテだなぁ。いいなぁ、俺もモテてぇ。
「ご主人様帰りましょうなのです!」
何時の間にか話は終わっていたようだ。
長老はどこにも見当たらない……どこ行った長老?
「帰りは別のルートで行くか」
「わーいなのです!」
大通りにはなるべく出ない道を選ぼう。

       

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