Neetel Inside 文芸新都
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俺は肩が叩かれているというか痛くて起きた。
「おーい和人ー! おきロー」
「んん? あれ? 大樹か。ていうか痛いよ」
「ははははは!」
さて。寝過ごしてしまうとは情けない。というか大樹に悪いな。今日きてもらう約束だったのに。
「そんじゃ行こうぜ!」
「ああ。いつもすまないな」
「気にすんなって! 俺たち親友だろ」
本当にこんな俺を親友と呼んでくれる大樹は良い奴過ぎる。なぜ俺と仲がいいんだ? 不思議だ。
俺の家の前に立つと緊張する。考えられる事は………。
①ぽちがご主人様お帰りなさいといいながら抱きついてくる。
②タマが和服で手をついてお辞儀しながら御帰りなさい飼い主様といってくる。(何故か最近タマは和服にはまってる)
③凛が何故かいる。しかも中は惨劇。
これのどれかだ。③ではないことを祈りたい。
「大樹、これから何があろうと絶対に驚かないでくれ」
「んあ? わかったけど………?」
いざ、参る!!
ガチャ
「お帰りなさい兄さん」
「あ、梓!?」
「おおこんにちは梓ちゃん」
何故梓がここにいるんだぁぁあああ!!??
俺の目の前には俺の妹である三浦梓がいる。いや、驚くべき点はそこだけではない! 何故!? 俺と一緒の学校の制服を着ているかだ!
「兄さん不思議そうですね。実は今日からこっちに転校してきたんですよ。しばらくはここに住まわせていただきますね」
「う、あ、えええ!!??」
「ところで悩み事ってのなんなんだよ?」
うおっ! そうだった。ていうか梓はあの二人をどう思ってるんだ?
「まぁまぁ兄さんそんなところに何時までも立っていたら邪魔になってしまわれますよ? それに大樹さんも早く上がらせてあげた方がよろしいのでは」
「そ、そうだな……どうぞ」
「おじゃましまーす」
「先にリビングで待っていただけませんか?」
「んん。OK」
大樹が完全に見えなくなると梓はこちらを振り向いてた。
それはひどく無表情で冷たい顔だった。お、怒ってるのか?
「ところで兄さん……………あの二人の女性はいったいどちら様で?」
「えーと話すと長いようで長くないような」
そう返事すると梓はくるりと半回転して長い髪をなびかせる。両手を腰に回し首だけこちらに向かせた。
ていうか別に俺の妄想ではないか。って考えればあたりまえだな。いや、当たり前じゃないんだけど。妄想だったら俺の頭は酷すぎる。
「まぁ…………別にどうでもいいんですけどね。例えあの方たちが兄さんとどのような関係であったとしても最後に兄さんと結婚する方は一番兄さんの事を知っていて一番兄さんの事を想っている人なのですよ?」
「えーといやいや? 別にそう言う関係ではないぞ」
「そもそも兄さんは誰にでも優しすぎますからね。それも兄さんの魅力の一つですけれど」
「は? えーと何の話?」
「ふふ。まぁよろしいです。早く客人の元に行かなくてよろしいのですか?」
そ、そうだった! 早く大樹のところに行かなければ。
リビングに行くと大樹はぽちと戯れていた。
ちなみに何故梓と大樹が知り合いかというと一度梓がこっちに遊びにきた時があった。その時に知り合ったと思う。誰に向って話してるかって? 禁則事項です。
「………何してんの?」
「んー? あそんでんの」
ぽちはボールを投げてもらっては取りに行っている。ていうかあんなのでいいのか。犬のままだな。
タマは大樹など全く気にしていない様子でというか大樹を既に空気と同様に扱っている。酷いな。酷すぎる。
「お帰りなさい」
タマは俺に気づくとにっこり微笑んだ。うん。扱いの差が激しいぞタマよ。もう少し大樹と話してみたらどうだ。
「あ! お帰りなさいなのです!」
うん。ぽちよ恥ずかしいからその遊びは止めなさい。それと物凄くいい汗かいたみたいな顔するのはやめなさい。
「ご主人様! この人凄く良いい人です! 私と遊んでくれます」
「ご主人様? 和人まさかお前…………!」
「ち、違う! 俺は違う!!」
うわぁぁぁああああ!! 盛大に誤解された!!
どうする、どうすれば切り抜けられる! 考えろいや、感じるんだ!!
「和人ぉおお!!」
「待て! 誤解だ「同志よ!!!」!?」
うえっ!? ちょと待て。大樹今なんていったよ?
「いやーまさか和人がなー。はっはっは! やっぱりメイドだよな。うんうん!」
「えっ? ちょと大樹?」
「いや、しかしバニーさんも欲しいところだけどうんうんメイドと着物かぁ。いいな! 和と洋を組み合わせるとは。しかしならここでチャイナが欲しいところだぜ」
待て待て待て待て待て待て。こいつは本当に大樹か?
なんなんだいったい。なんなんだよ。いったい何が起こってるんだ!?
「そもそも萌えというものはだな……………」
おいぃぃぃぃぃ!! 何か語り始めちゃったよ!!
「兄さんお茶の用意が出来ましたけど」
待て! 梓きちゃ駄目だ! なんかよくわかんないけど来ちゃ駄目だぁぁぁああ!!
「く、来るなぁ!」
「どうしたんですか兄さっ!」
梓がきた途端大樹はそちらをふりむく。
「梓ちゃん。チャイナ服を着てみたまえよ」
「えっあっ、はい?」
遅かったか……って何で鞄にチャイナ服が!? 大樹の鞄は四次元ポットか何かか!? 駄目だ。俺の中の大樹が崩れてゆく。いや、別にいいんだけどね。なんていうか………ねぇ。
「きゃぁあああああ!!!」
「はっはっはっ!! 萌えー!」
無理やり脱がすの犯罪だぞ!?

       

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