Neetel Inside 文芸新都
表紙

ぽちタマ
波紋?

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あれから俺の家は一段と騒がしくなった。
何故か分からないがみんな夢魔が見えるようだった。しかも自らを夢魔と公表したので凛が大暴れ。もちろん物理的攻撃は当たらないので夢魔はただ笑っているだけだった。おかげで家は大惨事だった。
然しそれ以上にまったく困ったものは梓だ。何故か知らんが梓は全く凛を止めようとはしなかった。それどころか応援というか手助けまでしているような始末だ。確かに夢魔ってのはあんまり良くないかもしれないけどだその後の事も考えて欲しい。
「ねぇねぇ和。今日どう?」
「無理に決まってるだろ」
とまぁ今はそんなことより自分の心配かもしれない。
「ねぇ和ってばー」
「兄さんに近づかないで下さい」
「そうだよ! 和人は私だけのものなんだからぁ!!」
何時の間にか俺の周りには全員集合している。
ちなみに和と俺のことを呼んでるのは夢魔のムーちゃん。夢魔なので命名ムー。ぽちが名づけの親だ。
会話に参加していないがタマやぽちもいる。ぽちは何が楽しいのかわからないがこの会話を聞いて笑っている。しかもなんか嫌な笑みだ。にたにたしている。気持ち悪い。なんか心の中で(ワロスwww)とかいってそうだ。
タマは冷たい刺すような感じでムーを睨んでいる。さっきから一言も喋っていない。幽霊とか悪魔とかは猫が嫌いというらしいが確かにそうかもしれない。現にムーはタマ意外は平気だがたまになると怯えるしぐさを見せる。まぁただ単にタマが怖いだけかもしれないけど。
「ねぇそれにしても凛ちゃんはどうするつもりなの? それで倒すつもりなのかしら?」
「うるさい氏ねじゃなくて死ね!」
ムーが言うそれとは凛が右手に持っているものだ。ぶんぶんムーに向って振り回している。あぶないったらありゃしない。て言うか微妙に俺にかすったぞ! 痛いぞ肩。
ちなみにその右手に握られているものは普段料理に使うもので決して突き刺したりして殺人を犯すための道具ではなく食材を切る時とかにとても便利で決して振り回したりして殺人を犯すための道具ではない。ちなみにそれをもって町を歩けばお巡りさんのお世話になるけどもキッチンには必要不可欠な道具、包丁である。
「危ないですから兄さんわたしの部屋に避難しましょう」
「えっちょと」
手を握られ無理やり連れて行かれる俺。こんなに力があったのか妹よ……って痛い痛い! 階段は自分で歩くから引きずらないで痛いって!
「はぁはぁ兄さんつきましたよ」
「痛い……」
そして無理やり中に入れさせられる俺。
俺が一階で最後に見たのはタマがぽちと戦闘しててムーがふよふよ浮いてるところを必死に包丁を振り回している凛。以上だ。とっても異様な光景だった。
にしても痛い。特に背中とか。
「兄さん……どうしました? どこか痛いところがあるんですか?」
「うん痛い。体中が痛い」
あなたに引きずられて階段でぶつけたからとは言わない。
「大変です湿布をしますから脱いでください」
「ええっ!? 無理だろ」
「兄さん湿布しないと痛いままですよだから脱いでください」
「うッ……」
なんだか分からんが圧されているだとっ! ええっいななんだこのプレッシャーは!
ということで結局脱いだ俺。言っとくけど上半身だけだぞ! 
「兄さん後ろを向いてください」
「イエス・サー」
「女性の場合はサーではありませんよ」
どうでもよくね?
後ろを向くと梓の細い指が俺の背中をそう。おいおい湿布してくれ。
「ふふっ兄さんの背中随分と逞しいんですね……」
「そんなことより湿布してくれ」
「そんなことってこれは痛いところを調べてるだけですよ?」
そうなのか?
どうでもいいが実際体中痛いので全身に貼ってくれると助かる。
「兄さんどこが痛いですか? あ………肩、血が出てますよ! 大丈夫ですか!?」
「ああ平気だよこのくらい……ってなにしてんだ!?」
何時の間にか俺の傷口を舐め始めた梓。最近おかしいぞ!?
はがそうと思っても思いのほか強く抱きしめてきているため中々はなれない。本気を出したら危ない、然しこの状況はもっと危ない。まずは話し合いで何とかしよう。
「消毒がないから舐めてるんですよ……誤解しちゃ駄目ですよ?」
「誤解って……ていうか誰かに見られたら明らかにやばいだろ」
「大丈夫です鍵閉めてますから」
何時の間に!? 梓って忍者になれるんじゃないかって思うときが時々ある。ていうか危ない。普通に危ない。
「やめなさい梓……普通に危ない」
「嫌ですよ。これは消毒なんですからね消毒です」
そう言って少しずつ激しくなっていく。危ないよ! 変態だよ!? 俺はこんな子に育てた覚えはないよ……! 
「どけって! 離せマジでやばい!」
うなじを舐めまくっている梓。ていうかこれマジでやばい。ヤバイヤバヤバイヤバイ。パニックだ。どうする!? もう力任せに何とかするしかない。

     

「どけって……言ってるだろっ!」
「はい」
「うぉっ!?」
唐突に離す。力任せに離させようとしていたためにバランスを崩し仰向けに倒れた。
その際に頭を打った。痛かった。
「大丈夫ですか兄さん?」
「駄目。特に精神的に」
「それじゃぁ少し眠りましょう」
そう言ってベットに寝かせられる俺。でもベットに乗るまでに肉体的ダメージも酷くなっていた。
「どうですか兄さん?」
「駄目。肉体的にも駄目」
「それじゃあ寝ましょう」
最近良く眠れないのもあってか段々と眠気が襲ってくる。
ああ駄目だ。なんかよくわかんないけど駄目だ。寝たら人間的に駄目になる気がする。
もう……無理・……。
俺は静かに瞼を閉じた。

     

やっと眠りましたね。
兄さんは中々眠らずもどかしかったですけどこれで、もう大丈夫。兄さんは誰にも渡さない。泥棒猫なんかに負けるほど落ちぶれていない。
「ふふっ。兄さん好きですよ」
兄さんに抱きついて思いっきり息を吸う。
兄さんの匂い。少し汗の匂いがする…・……。
「兄さん好きです、大好きです」
私だけの兄さん。私のための兄さん。
兄さんは誰にも渡さない。そのために何時でも泥棒猫の排除に力を入れてきた。
何故か知らないがあんなモノに一喜一憂して兄さんは優しい。まぁ兄さんにすかれるために兄さんの理想像を作り上げた私が居ればいいのだ。
しかしあの頃は良く言えたと思う。まぁ今でも言えるかもしれないけれど少し恥ずかしい。
「一番兄さんの事を知っていて一番兄さんの事を想っているのは私ですよ」
最後には何があろうと私が兄さんと結ばれる運命なのだ。
確か憲法には結婚が駄目であっただけだったと思う。いざとなれば既成事実でも作り上げればいい。薬で眠らせた後夜に忍び込めば大丈夫だ。念のため私の部屋に異動させるのも忘れないようにしなければ。
兄さんは優しすぎるから多分受け入れてくれるだろう。お人好しな兄さんが好き。
でもたまには酷い事を言われてやられてみたい。罵られて虐められて。
やばい……ちょと妄想終了。
しかし兄さんが引っ越してしまったときは死のうかと思った。
私にとって兄さんの居ない世界なんて意味が無いなんてものではない。
兄さんが私の世界なのだ。
今日ので兄さんは気づいたでしょうか? 兄さんは鈍感だから気持ち悪い程度にしか思われていないかも。でもしょうがない。止まらなかったんだから。
兄さんはお人好しなので多分適当に言えばはぐらかせるだろう。
まぁ今はそんなことよりもこの状況を満喫しよう。
兄さんを抱き枕にできるなんて一つ夢が叶った。
おでこにキスする。唇にはしない。兄さんが自分からしてくれる日までお預けだ。まぁ誰かにファーストを盗られるくらいなら私が先に盗っちゃうけど。
ああ兄さん愛しています。
「あはは。あー、幸せ。兄さん、好き。大好き。抱かれたい。犯されたい。うふふ。壊されたい。殺されたい」
さて今日は兄さんの寝顔と匂いをオカズにしよう。
兄さん抱き枕に抱きついて私は深い眠りに誘われた。
「おやすみなさい兄さん」



     

「うぅー……ん?」
あれ? ここはどこだ?
周りを見渡す………事はできなかった。梓が抱きついていたからだ。
という事はここは梓の部屋だろう。しかし何故俺はここに寝てるんだ?
たぶん湿布を貼ってもらったんだろうけど。梓につれられて部屋に入ったところまでしか思い出せない。
記憶がないのは多分頭が痛いのと関係してるだろう。
とりあえず何とかして起きたい。
「梓、起きろ梓」
「ん………」
起きる気配無し。時計を見ると大して時間は経っていない。多分だけど。
まずは梓を引き剥がそう。
「梓ー起きろ。起きてくれ」
「ん……兄さん起きてたんですか?」
「ああ今さっき起きたところ」
「そうですか」
起きると直に梓どいてくれた。
抱き枕にされていたときとは偉い違いだ。
「なぁ俺何故か記憶がないんだけど。何で梓の部屋に居るんだ?」
「そうですか。兄さんは凛さんに包丁で襲われそうになったので避けたら滑って頭を打ったんですよ」
「なるほど。だから頭が痛むのか」
「ええ。ですから私が部屋まで運んで看病してたんです」
そうか………なんか色々世話になったんだな。
全く良くできた妹だ。それにしても凛は……。
「あれ? じゃあ何で俺はベットで梓の抱き枕になってたんだ?」
「それは寝ぼけた兄さんが私に抱きついて離さなかったんですよ」
「え? マジ?」
「ええ本当です」
やべぇ、やっちまったなぁ。
どうしよう。なんか人間的に駄目になった気がする。
なんとかして赦してもらわなければ。
「ど、とうしたら許してくれるんだ?」
「許す? ええ………そうですねそれじゃあ一つだけお願い事をさせていただきます」
「おう」
もう何があっても動じないぞ。
「毎日朝は私が起こしにいきます。いいですね?」
「えっ? もちろんいいけど…………そんなのでいいのか?」
「もちろんですけど、兄さんはもっとひどい事がお望みですか?」
「い、いいいや! もちろんそれでいいならそれでいいんだよ!」
物凄い拍子抜けしたがそれでいいのなら良い。
ていうかそれだけでお願いします。
「ふふ。それじゃあ、よろしくお願いしますね兄さん。勝手に起きちゃ駄目ですよ」
「ああ。わかってる」
「目覚し時計も処分しておきますからね」
「ええ!? 何で?」
おいおい。わざわざ捨てる事も無いだろう。
意外と慣れ親しんだ時計なんだ。愛着があったりするんだぞ。
「しかし処分させていただきますよ。勘違いなさらぬように言いますが兄さんに選択肢は無いですからね」
「はいすみませんでした」
くそぅ。まぁ別にいいんだけど。
なんだか又新たな波紋がきそうな気がする。

     

そんなこんなで寝るとき。
「それでは兄さんおやすみなさい」
「おやすみ梓」
夜部屋に行くとドアに札が何枚も貼られていた。
ドアノブには魔よけのペンダント的なモノがかかっている。
「ああ和! これをとって! 梓ちゃんと凛ちゃんが共同でこれをやったのよ。わたしこれじゃ入れない」
「残念だったねぇ!」(じまんぐ風に)
俺は無視して部屋に入る。
何か声が聞こえたが気にしない。
こうして一日は終わった。


     

番外
「はぁー。今回私達全く出番が無かったです」
「なによいいじゃない別に私なんて一行も無いわよ」
「だってでも私なんかワロスwwですよ。正直へこみますですぅ。そんなこと思ってないですぅ」
「ほんとうかしら?」
「ほんとですぅ!」
「それにしてもこのお話のタイトルなんだっけ?」
「ぽちタマですぅ」
「全然でてないんだけど。一話しかメインじゃないのは何故?」
「むぅー。なんとしても出番を取り戻すのです! 如何なる手段を使っても」
「そうね。私も彼とイチャイチャしたいわ」
「私もたくさんでたい!」
「私もよ!」
「「凛(さん)! ムー(ちゃん)!」」(かっこは、ぽちの台詞)
各々野望を胸に抱き出番を手にいれるため非情の鬼となるのだった………………。



       

表紙

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Neetsha