Neetel Inside 文芸新都
表紙

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「それではこれをつけてください。この眼鏡は3D眼鏡でしてこれで体験できます」
変なもん作るな馬鹿。
死ね。お化け屋敷作ったひとしね! あ、もう死んでるのか?
「兄さん怖いよー(棒)」
物凄く棒読みで俺の腕にしがみつくのやめなさい。
俺のほうが怖い。
「理さん別に嫌がらないんですね」
「慣れてるからね」
「おーい俺を空気にするな」
相変わらず影が薄いな従兄は。
というか真っ暗で何も見えないんだけど。
ていうか怖いんだけど。
ひたひたと足音しか聞こえません。
「わぁっ!!」
「うわぁあああああ!!」
従兄がいきなり驚かしやがった。
畜生ちびったじゃねぇかこの野郎。
「くっくっくっ。怖がりだねぇ」
「う、うるせぇ!」
「理さん可愛いですね」
虐めだろこれ。
苛めじゃないよ、虐めだよ。
くそっ。やってられるか。こんな眼鏡とってやる!
あれ? とったよな。
取りましたね。
じゃぁ目の前に居るのは何だ?
「んん? 私が見えるの?」
「あ、あ、あ……!」
「私の名前はムーっていうんだ」
「うわぁああああ!! でたぁ嗚呼嗚呼!!」
泣きながら走り出す俺。
お化け屋敷がトラウマになった瞬間だった。

       

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