「あ、あのさ。そのー」
「うん? 何」
俺が返事すると同時に花火が打ちあがる。
美希には聞こえたっぽいのでよし。
「あ、花火綺麗だねぇー。ま、おいといて」
「だから何だって」
俺は苦笑しながら聞く。
「うぁー。いいや単刀直入に言うね。一度しか言わないからね」
なんだよ。何言うつもりなんだ。
一度だけとか花火上がってんだから何回か言わなきゃいけないかもしれないだろ。
これはあれかフラ(ry
一番大きな花火が上がる。彼女は花火に背を向けていたからだと思うけどなんだか眩しかった。
「私はさーくんのことが――なの。だから付――――ください!」
「えっ? なに? 俺のことがなんだって?」
ほらぁ。聞こえなかったじゃん。大体こういうときは聞こえないというのが普通なんだよ。
もうふるいの。ふるすぎるの。
だからもういっぺん言ってくださいお願いします!
「……聞こえなかったの?」
「あーうん。俺のことが――なの。と付――――くださいしか聞こえんかった」
「普通分かると思うけど。まぁ意外と鈍いしねぇさーくんはさ」
「はぁ? 鈍いって何が」
鈍い?
こう見えても俺は足速いんだぜ。知ってるだろお前。
陸上部だったんだぞ。短距離で全国でたんだぞ。
その足に追いつく弟は化け物だよなぁ。
「そういうところが鈍いって言ってるんだよ」
「俺の周りは変な奴ばかりだ」
「さーくんも十分変態だと思うけどなぁ」
優しく微笑んだ美希に思わずドキッとしてしまう。
って何考えてるんだ俺。少女漫画か。ドキッて頬赤らめて少女漫画かコノヤロー!
「うふふっ好きだよさーくん。付き合ってね」
「えーあうん。わかったわかった」
「やった! んっふっふっ」
んっふっふってお前まるで大○だな。ひぐ○しの退職金が惜かった警部○石だ。
ん? ちょと待てよ。今この子はなんと言った?
スキダヨサークンツキアッテネ?
俺の返事は……。
「あっ……あー、あー……あーーー!!??」
「どったのさーくん――――!?」
「死ねっ! 氏ねじゃなくて死ね!」
さ、刺されたー!?
美希が! どっから沸いてきたか知らんが聖にナイフで!?