Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      

「どこ!? どこなの!? 私のかぁいいさーくんは!?」
現在俺は大木の後ろに隠れている。
人間一番の原動力は恐怖心らしい。
というかいつ俺はあいつのものになったんだ。
いや、確かに彼女だけど。
少しずつそこから匍匐前進で離れる。
無事逃げ出せるか?
どんどん美希の声が遠くなっていく。
「ふふ、やったぜ」
「良かったね兄さん♪」
ん?
足が目の前にあるぞ。
恐る恐る上を見上げると顔は見えないが確実に弟だ。
「あわわわわ」
「兄さん、捕まえたぁ゛!?」
俺に触れようとした瞬間弟が吹っ飛ぶ。
「み、美希!?」
何時の間にか奴がいた。
弟は頭から血を流しているがふらふらと立ち上がっている。
というかこいつらなんなんだよ。
「邪魔するなよ」
「さーくんは私のものなんだよ。
にらみ合う二人。
どうやら俺は今眼中にないようだ。
よく分からんが逃げるに越した事はない。
俺は少しずつ後退して一気に車道まで走る。なぜならその向こうにタクシーが見えたからだ。
「助かった……タクシー!!」
勢いよく乗り込む。
「とりあえずどこまでも遠くまで! この金でお願いします!!」
財布から5万取り出して渡す。
「へい」
助かった……俺は安堵の余り眠ってしまった。

       

表紙
Tweet

Neetsha