Neetel Inside 文芸新都
表紙

恋愛関係
番外編 聖

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-----------------------------------従妹編-----------------------------------------------
昔いじめを受けた。
辛かった。悲しかった。苦しかった。
そんなときに私を救ってくれたのは理さん。
そのとき私は変わった。
私の理さんへの思いは。
敬愛から恋慕へ。
そして理さんの想い人である妹さんは。
親愛から憎悪へ。

     

今日私は父と母に無理を言って理さんの家に行くことを許してもらった。
早く理さんの家に行こう。待ちきれない。
私の理さん。
私のための理さん。
「うふふふっ」
笑い声が零れる。
街往く人々が少しこちらを振り向くが抑えきれるわけも無い。
「ふふふふふ。あっははは!」
あーどうしよう。
襲っちゃおうかな。いとこ同士なら結婚できるし。
待っててくださいね理さん。
細工は隆々。全ては私の思い通りにことが運んでいる。
後は理さんを手にいれるだけだもの。
ピーンポーン
うふふふふ。最初が肝心なんだよね。
今は理さんしかいないはず。
「あ、理さん?」
「えーと聖?」
「はい。お久しぶりです」
私は貴方の事を常に想いつづけてますけれど。
「一年振りだっけ?」
「ええ」
「そっか。まぁあがっていきなよ」
「それじゃぁお邪魔します」
理さんの隣を歩く。
ふわりと懐かしい香り。
というか、あの燃えかすはなんだろう。どうでもいいですけど。
「あっ! 聖ちゃん!!」
何でこいつがここに居るの………?
だ、駄目。表情は変えたら気取られる。
「お兄さんこんにちは」
考えろ。計算しろ。想定しろ。予測しろ。
この状況を打開して。
私と理さんだけのセカイを作るんだ。
ワタシのタメのセカイを。

     

そもそも私が理さんを理さんと呼ぶようになったのは中学生になったときからだ。
私は父が日本人で母がイギリス人のハーフだ。
母の血を強く受け継いたのか日本人とはいえない外見だ。
その所為で私は幼少期からいじめられた。
誰かに会うのが怖くてけれど誰かと遊びたくて。いつも一人でブランコをこいでいた。
私を見た人は等しく変な髪とか変な目といった。
だから私はいつも大きな麦藁帽子を深く被っていた。
いつものように一人でブランコをこいでいると風で帽子が飛んでしまった。
私より少し背が高い男の子が帽子を拾った。。
「ねぇ一人で遊んでいて楽しい? 僕と一緒に遊ぼうよ」
「私と? 変な目と髪なのに?」
「そう? 綺麗で僕は好きだけど」
それが私と理さんの出会いだった。
初めて綺麗と言われた。
私の初恋はこのときから始っていたのかもしれない。

     

それから度々遊んでいた。
私は男の子が従兄という事がわかり嬉しかった。
何時でも遊べるんだと。
私は理さんをお兄ちゃんといって慕った。
小学生になった頃はやはりいじめられた。
けれどもそんなものは全然苦にはならなかった。
お兄ちゃんが居る。お兄ちゃんが護ってくれる。と。
けれども理さんが中学生になると私は一人になった。
いじめはエスカレートしていった。
けれどもときどき会えるから私は大丈夫だった。
そして私は名門女学院へ入学した。
誉められたい一心で頑張った。
私は頭を乱暴に撫でられたとき気づいたのだ。
私は理さんが好きだと。
だから私呼び方を変えた。
お兄ちゃんから理さんへ。

兄ではなく愛する者の名へと。

       

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