Neetel Inside 文芸新都
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恋愛関係
夏祭り前編

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今日は友人と遊ぶ日になっている。
男子一人に女子二人。
弟の追尾を警戒し朝四時に置手紙を書いて家を出た。
待ち合わせの四時まで適当にぶらぶらして時間になったのでいった。
朝四時に出たんだ。
そう。朝四時だ。なのに、どうして。
弟がいる。

     

「おいどうした理」
「な、なんでもない」
友人A(これからa)の声で我に帰った俺はどきどきしながら木陰を見た。
弟が見てる。俺が気づいていると言う事はばれていなさそうだが。
じぃーと見ててマジで怖い。いつから見ている? いつからついてきてた?
頭が痛い。非常に頭が痛い。
ゴルゴ13に狙われている気分だ。いつでも撃てるんだぜとか言われてる感じだ。
そんなこと言わないとおもうけど。
「どうしたの? 熱中症?」
「あっいや。なんでもない」
同級生の美希が心配そうに俺の顔を見る。浴衣姿が凄く似合ってる。
美希は幼稚園の前からずっと一緒の付き合いだ。
簡単に言うと幼馴染だ。
「あははっ! どーでもいいけどwww早く行こっwwて感じですぁwww」
この妙にテンションが高いのは友人B(これからb)である。すぁってどう発音するんだ?
物凄く煩い。扱いが既に脇役なんだから自重して欲しい。
「まぁいいや。早くお祭りいこ」
「ああそうだな」
そう。今日は夏祭り。
楽しもうじゃないか。今日くらい忘れよう。うんそうしよう。
「んじゃいこうぜa―――ひっ!!」

     

驚愕した。
何故か? 理由は単純明快だ。
ベンチに座っているやつ。さっきからずっと見てると思ったら……ひ、聖だった。
しかも目が怖い。凄く怖い。なんかもう親の仇を見つけたって言うか食い物の恨みって言うかめちゃくちゃこわい。
早くも寒くなってきた。だめだ。マジ怖い。トラウマになるってこれ。
「どうした理。さっきから変だぞ」
「なななな、なんでもないって! ほらはやくいこーぜー(やや棒読み)」
「おう!」
こいつが馬鹿でよかったと思う。
a。今度きちんと名前付けてやるからな。
「ちょwwマジうけるんですけどぁwwww」
何に対して笑っているんだろうか。どぁってどう発音するんだろうか。
ていうかうざい。めっちゃうざい。wつけすぎ。いいすぎ。
「ちょと煩いよbちゃん」
「フヒヒwwサーセンぁwww」
こいつ何だいったい。
さいごに「ぁ」つけないと死んじゃう病か?
「w」二つ以上つけないと爆発しちゃうのか?
「早く祭りに行こうよさーくん」
さーくんは美希が幼少の頃に呼んでた呼び名だ。
今でもずっとそう読んでる。正直恥ずかしい。
あと、さーくんって言ったとき歯軋りが聞こえたけど気のせい気のせい。

     

「んーおいしっ♪」
今俺の隣にはりんご飴をほおばっている美希がいる。
ちなみに二人きりだ。弟と聖の姿は無い。なんとかまけたみたいだ。
bの提案で二人ずつ行動する事になった。
「あれww二人ずつで行動した方が良いと思うんだけどぁwww」
相変わらずウざいがまぁ二人きりの方が弟たちを撒くのも簡単というものだ。
俺の読みどおり上手くいった。
後は楽しむだけだな。
「なーんか元気無いよねさーくん。なんか上の空って言うかさ」
「そ、そうか。まぁ今から楽しめば良いだろう」
そういうと、んーそうだねぇと言って笑いながらりんご飴二個めに突入している。
りんご飴何個食べるつもりだろうか。
「んーおいしー♪」
「ほんと好きだな。美希は昔から好きだよな」
おおっともう3個目です。はやすぎるだろ。
「そうだね。でもさーくんも好きだったよねー。食べる?」
そう言ってさっきまで舐めていた飴を口元まで近づける。
食えとそう目が言っている。けどさ。それはあれだ。
間接キスになる。
「いやーあれだろ。さすがに色々と」
「別にさーくんなら気にしないよ。ほらほら」
うっ、ていうかこいつ絶対楽しんでる。
だって凄いニヤニヤしてるもん。
いじめだよなぁこれ。いじめだよ。
「んもー男の癖に根性ないなぁ」
「いや、根性とかそういうの関係ないだろ―――」
「えいっ♪」
そういい終わろうとした瞬間りんご飴を無理や陸地に入れられた。
「ちょおまっ」
「私が食べてたりんご飴をそんなにほおばるなんて……」
顔を赤らめて言うな! お前がやったんだろうが!
まったく。なんか調子狂うな。
捨てる訳にもいかないので食べる事にしよう。

     

「もらいっ!」
「あっ!?」
食べようとした瞬間また飴を奪われた。
「さー君のモノは私のもの。私のものも私のもの」
「なにいきなりいってんののお前。ていうか食うな」
「あむあむ何で?」
なんていうか。こういうところを弟たちに見られてたらやばいな。
瞬間背筋に寒気が。
なんだこの寒気は。まさか。いや嘘だろ……。
首を百八十度曲げているんじゃないかと思うくらい曲げて後ろを見る。
ばれないように。そっと。
い、いた。
聖と弟がじっとこっちを見てる。屋台の影から。
「どうしたの?」
「ははっはははは。とりあえず、急いで走らず逃げよう」
「何言ってるのっ?!」
俺は美希の手を取って無理やり人ごみの中に入る。
「ちょとまってよさーくん!」
ええい。気にするな俺。
奴らを撒くためだ。聖もあの晩から少々評価が変わった。
強引に引っ張って美希を連れて行く。
かわらに出たところで一休みした。
「ふぅ。撒いた……かな?」
「な、なにが? ていうかいきなり引っ張ってびっくりしたじゃない!」
「ん? あぁ……ごめん」
美希は顔を真っ赤にしてしきりに握った手を触っている。
怒ってるのか? ていうか強く握りすぎて痛かったか?
とりあえず俺がすべき事は。
「ええーとごめん」
「えっ? 何が?」
何がっておま。さっき怒ってたじゃないか。
とりあえず撒けた見たいだし、ここで花火でも見るか。
「ここで花火見ようよ。そろそろ時間だし」
「んーさーくんがそういうならいよ」
とりあえず元に戻ったみたいなのでいいや。
俺は原っぱに仰向けに寝転がった。
「あ、あのさ………ずっと聞きたかった事があったんだけど………」
「んぁ……なに?」
俺の隣に女の子座りする美希。
なんだ。なんかおかしな雰囲気だぞ。

       

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