Neetel Inside 文芸新都
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恋愛関係
夏祭り後編

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bが来た時三国志の人たちの気持ちがわかったような気がする。
正に「げぇ! 孔明!」 って感じだったからな。寧ろ言いそうになった。
「ちょww知らない女を担いでるwwww襲ったのかぁwww」
襲ってる訳ねぇだろといおうとしたがその瞬間むっとした顔で美希が反論したので黙っておいた。まぁ、美希ならきちんと弁護してくれるだろう。
「何言ってるのbちゃん。襲うなら私に決まってるよ」
「いや何言ってるのさ。僕に決まってるよ」
「おまえら何言ってるんだ!」
訳分からん。
こいつら脳みそに蛆虫でも湧いてるのか?
いやグロイから想像はやめとこう。
「真面目にww誰なんww誘拐ぁww」
「違います。従妹です従妹」
「はっきり言ってwwどうでもいいけどぁwwwついてこいwwみたいなですぁwww」
なんだか知らんがbについていく俺たち。
弟はちらちら聖を見ていては歯軋りの音が聞こえるが無視無視。
「ちょとwwそこの男性こいぁww」
「え? 僕に言ってるとしたら何でさ」
bはにこにこしながら弟を誘う。
なんだ食うのか。ならさっさといただけ。
あ、でもやめて。姉に殺されるから。主に俺とか俺とか俺。
「まぁいいけど」
そう言ってゆっくり近づいていく弟。
その瞬間bは弟の頭を鷲掴みにした。
「えっ?」
ドゴッォォ!!

     

「あららwwおねむの時間ですぁwww」
「おいぃぃぃ!! 何しちゃってんのぉ!?」
ドゴッォォってした! ドゴッォォって!
弟は地面に頭が刺さってる。
やばい。なんか辺り一面にひびが入ってる。けど頭から血は出てない。
「大丈夫。血は出てないから死んでないよさーくん」
「いや、そうだけど! ドゴッォォ! って! しかも血出て無くても脳震盪だよ! 死ぬよ!」
ずぼって音がしたので弟の方を見るとbが弟を肩に担いでどっかに行こうとしている。
ずぼって……なんだよ。
「どこいくのbちゃん!」
そのままどこかに行こうとするbに声をかける美希。
「この先に絶景の場所があるからね。二人で行ってきな、ねっ」
高いソプラノの声で、こちらを振り向いて白い歯を見せてにこっと笑う。
俺はその顔を見て惚れた………って、俺には既に美希が居るから!
「ん? ところで何してんの美希」
美希は俺から聖を剥ぎ取っている。
なんか聖は爆睡モードだ。
「んー? 投げるの」
「は?」
俺がそういったときには聖は宙を舞っていた。
それをbがキャッチ。
「頼むね光ちゃん」
「んぁwww」
すでにbはいつもの状態に戻っていた。
っていうか名前光って言うんだ……。
名残惜しいなぁ。あの笑顔又見れないかなぁ……って、俺には既に美希がいるから!
「ぬぁあああ!!」
「どうしたのさーくん」
頭を抱えて蹲る俺を不思議そうに見ている美希。
正直くる。精神的に。ていうかお前の事だよ。
「ていうかbちゃん力持ちだよねー」
「なんで光って呼ばないの?」
「んんーなんとなく」
なんとなくねぇ。
まぁいいか。
「早く絶景ていう場所にいこーよさーくん」
「あ、ああ」
初恋の人かも知れない。
「好きだ……(光)」
「えっ! 私も好きだよ(理)」
「そっか」
「うん」
会話終了。
俺たちは光が教えてくれた場所へ向った。

     

そこは崖だった。崖。何も無い崖。草しかない。
けどそこは本当に綺麗だった。
月明かりに照らされる水面。
遠くに見える町並みがきらきらと光っていて。
なにより花火が一番良く見える。
「綺麗だねぇ……」
「ああ……綺麗だ」
俺たちただその景色に見入っていた。
言葉を失っていたんじゃなくてそこには言葉など無かった。
「うふふふ。そこはさー美希の方が綺麗だって言うほうがいいと思うなぁー」
「いや、綺麗だよ。ここはさ」
「……人の話を聞け――」
美希はそこで言葉を切る。
最後の花火がうちあがったからだ。
赤、藍、緑、青、翠、紅。
同じ色のようで違う色。咲き乱れる花のようで。
そして最後に、最後の最後に枝垂れ柳の乱舞。
幾つモノの花火が重なりゆっくり広がっていく姿はこの世のものとは思えない幻想的なものだった。
「この景色でこの花火を見たこの夏の思い出ではこの二人だけの思い出だね」
とりあえず俺は花火を見たので美希の顔を見ずに返事をした。
「そうだなー。二人だけかぁ」
「そうだよ二人だけだよ。私たち二人だけの思い出。誰にもけがされない澄み切った思い出だよ」
「さすがに言いすぎだろ――」
苦笑して美希の方を向こうとした瞬間唇に感触が。
しばらくしてキスされたことに気づく俺。
ただ呆然と美希の顔を見ていた。
「ふふっ。言い過ぎじゃないよぉ~だからさ。今は私だけを好きでいてね」
感想はふにってしてた。
ていうか、美希は顔を紅くしていたものの目尻に涙を溜めていた。
「美希、お前」
「さ! 早く皆に会いに行こうよ。義弟君怒ってるんじゃないかなぁ」
大きな声で遮られてそれ以上俺は何もいえなかった。
帰りは静かだった。
ただ蝉の泣き声が煩かった。

       

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