Neetel Inside 文芸新都
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恋愛関係
真実はいつも一つ!

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俺が思っている以上に事態は深刻で。
俺が思っている以上に時代は無残で。
俺が思っている以上に関係は脆くて。
俺が思っている以上に真実は残刻な。
そんな物語。

     

とりあえず美希を落ち着かせた後家まで送った。
今はその帰り道だ。
「なんなんだ。一体なんなんだ」
独り言を呟きながら歩く。
なんかアレだし美希と花火を見た場所に行こう。
あれ絶対山だよね。
携帯で聖に遅くなるとだけ送っておいた。
はぁー。なんなんだろう。
「よっ! 理」
「お前はaじゃないか」
塾の帰りなのだろうと思われるaを発見した。
理は驚き戸惑っている。
「俺には正治って名前があるんだけどなぁ」
「そうだったのか。知らんかったよごめんなa」
aは苦笑してその場を去った。
理は戦いに勝った。
経験地を1手に入れた。
とまぁこんなことやら、なにやらあってとうとう階段の前まできた。
というかaにしか会ってないからなにもなかったけどね。
じっ、と上を見つめる。
果てしなく階段は続いており登る気が失せてくる。
「いや、大丈夫。途中でペットボトルのお茶買ったし。うん大丈夫」
気分転換さ気分転換。
と、いうことで登る事にした俺。

     

「はぁはぁ」
早くも俺はへばっていた。
いや、早くは無い。かれこれ大分登っているはずだ。
うーむ。美希と一緒の時は話していた事もあってか早く感じたけど、意外と疲れる。
気合と根性で登っているとついに丘が!
俺はもうゼロに近い気力を振り絞った。振り絞っても何も出ないとは思うがな!
頑張れ俺。
あの街を全貌が見えるところへイケ。
「つ、ついたー」
ついに迎えた頂上。
嬉しいのう嬉しいのう。
喉渇いたからお茶のもう。
「お茶は……ない!?」
……明神理一生の不覚!
「仕方ない。我慢し様」
ま、いいさ。あの綺麗な風景が見れればね。
と、どこからか泣き声が聞こえた。

     

「ひぐっ……ぐすっ……」
誰だろう。つか、こんなところで泣くなよ。
体育座りで顔をうずめて泣いているロングヘアーの女の子。
見た目……は分からんが多分多分俺と同い年だろう。
どうしよう。
とりあえず、隠れ様。
そのときパキって音が。小枝が折れてますね。俺の足によって。
「誰!?」
うわぁ……ばれた。やべー。
ん?
「理君……?」
「えーと、はい」
相手は俺の名前を知っている。
俺も相手の名前を知っている。
光だ。
「な、なんで理君がここに……」
「いや、なんとなくだけど……」
そう、といって光は目を伏せた。
ちょと舞ってくれ。
光は、理君なんて言わないぞ!?
理だ! 呼び捨てだ!
しかも髪下ろしてないし。ポニーテールだし。
そうか! わかったぞ。
お姉さん又は妹か双子だな!
「すみません、つかぬ事を聞きますが光さんのお姉さんか妹さんでしょうか?」
「光ですけど……?」
うわぁああ双子の可能性すらなくなった。ていうか。
う、ううう嘘だ!?
ええ! こんなのが光!?
「ひ、光さんはいつも髪下ろしてましたでしょーか」

     

「いや、いつもはポニーテールだけど。何で敬語なの」
あばばはばばば。
ほんものだぁあ!
「な、なんかいつもと雰囲気違うね」
「あっはははwwいつもと一緒だよwww」
違う! 全然いつもと違うじゃないか。
最後に「ぁ」がついてない!
「何で泣いてたの」
単刀直入。
「あはっ……ははは。理君だから教えるね」
ん? 脈あり?
でもこれで彼氏がどうのこうのでってきたら…・・あああ。
押し……倒す……いいやいや。犯罪だソレは。
次の瞬間彼女が言った言葉に俺は耳を疑った。
「あとね、余命半年くらいなんだよ」
は?
ひ?
ふ?
へ?
ほ?
「冗談、だよね?」
「あはっ。違うよ夢でも冗談でもない。ぜーんぶ真実なんだよ。何で私なんだろうね。何で私がこんな目に遭わなきゃならないんだろうね。何で私? 何で!? 何で!!」
光は完全に取り乱していた。
俺は、なんていえばいいんだろうか。
「ねぇ教えてよ理君。なんで私なの? なんで私じゃなきゃ駄目なの? 普通に生きたかったよ。恋をして結婚をして子供が出来て、孫が出来て。そんな普通で良いんだ」
最後は独白に近いものだった。
彼女は目の焦点が合ってないように見えた。
「死ぬのは、嫌だよぉ……死にたくない……うわぁぁああ」
最後は遂に泣き出して崩れ落ちる光。
俺は光を抱きしめた。
ただ、抱きしめていた。
俺は、彼女の支えになれるんだろうか。

       

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