Neetel Inside 文芸新都
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走る走る俺
今のところ誰もいない。
走る走る俺。
弟よりも美希が一番危ない。
走る走る俺。
何故だ?
何故、美希が、目の前にいる。

     


「さーくん、みーつけた」
「うわぁぁあ!!」
体制を崩して転びそうになるも何とかたてなおし林の方向に逃げる。
とりあえず障害物の多いところに行ってやり過ごそう。
幸いあいつとは50m以上はなれている。
「さーくん待ってってば」
「ひぃゃーーー!!??」
美希が突然俺の隣にワープした。
「私は巫女だからっ……」
「うわぁ!」
咄嗟に美希の顔面を肘打ちして逃げる。
が、奴はイナバウアーと呼ぶべきだろう。
マトリックスだったらとまるはずだが美希は上半身を仰け反らしたまま走っているのだ!?
「つ、捕まえるのならさっさと捕まえればいいいだろう!?」
「分かってないなぁ。逃げるさーくんを心身ともに追い詰める……ああ最高!」
「!!」
なんだこいつは!?
「さぁ、お逃げ! 愛の狩人こと巫女の美希が追い詰めてあげる!」
「びゃぁぁああああ!!」

     

「どこ!? どこなの!? 私のかぁいいさーくんは!?」
現在俺は大木の後ろに隠れている。
人間一番の原動力は恐怖心らしい。
というかいつ俺はあいつのものになったんだ。
いや、確かに彼女だけど。
少しずつそこから匍匐前進で離れる。
無事逃げ出せるか?
どんどん美希の声が遠くなっていく。
「ふふ、やったぜ」
「良かったね兄さん♪」
ん?
足が目の前にあるぞ。
恐る恐る上を見上げると顔は見えないが確実に弟だ。
「あわわわわ」
「兄さん、捕まえたぁ゛!?」
俺に触れようとした瞬間弟が吹っ飛ぶ。
「み、美希!?」
何時の間にか奴がいた。
弟は頭から血を流しているがふらふらと立ち上がっている。
というかこいつらなんなんだよ。
「邪魔するなよ」
「さーくんは私のものなんだよ。
にらみ合う二人。
どうやら俺は今眼中にないようだ。
よく分からんが逃げるに越した事はない。
俺は少しずつ後退して一気に車道まで走る。なぜならその向こうにタクシーが見えたからだ。
「助かった……タクシー!!」
勢いよく乗り込む。
「とりあえずどこまでも遠くまで! この金でお願いします!!」
財布から5万取り出して渡す。
「へい」
助かった……俺は安堵の余り眠ってしまった。

     

「お客さん、お客さん」
「ん、ぁあ。ついたんですか?」
「ええ」
なんとか助かっただろう。
タクシーから降りて大きく欠伸する。
「理さんごくろうさまです」
「んぁ……聖か。………って聖!?」
な、何故目の前に聖がいる!?
というか、ここ聖の家じゃん!
「これでいいのかい聖ちゃん」
そういいながら車から降りる運転手。
「ええ。ありがとうございます叔父様」
「え、あ、え?」
グル?
「さぁ、理さん。楽園へ帰りましょう? うふふふふ、うふふうふふふふ」
「来るなぁ!」
なんでソロルなんだよ!?
俺はただ夢中で走る。
車に乗った聖が追いかけてくる。
前から何時の間にか弟が。
そして何故かビルから落下してくる美希がいる。
多分あいつはこの程度へでもないんだろう。
そして巫女だからというんだろう。
けど絶対美希は巫女じゃないから!

     


ふと横を見ると男性の手がビルとビルの隙間からおいでおいでしている。
なんとか一人通れそうな感じだ。
aに違いない。
「助かった!」
俺は路地裏に駆け込む。
途中そのまま車が衝突したため美希たちは足止めを喰らっている。
無事に通り抜けたときは疲れてしまっていたのでへたり込んでしまった。
「はぁはぁ……助かった。さんきゅーa」
「どういたしましてですぁwww」
え?
俺の目の前にいるのは光だ。
さっきの手は?
振り向くとaが壁にもたれかかってうな垂れている。
多分気絶しているんだろうけど……。
「勝負事は常にwww一番でありたいよねぁww」
「あぁ……そうっすか」
諦め様。もうつかれた。
それに光ならあの三人よりずっとマシなはずだし。
「それじゃww捕まえ……ごほっ! ごふっ」
びちゃって音がして俺の顔に何かついた。
多分血だ。
ていうかごふって……。
「ごほっ! ごほっ!」
「だ、大丈夫か!?」
光がいきなり血を吐いた。
俺はどうすればいいのか分からずただ大丈夫かとしかいえなかった。
「さーくん! みーつけた! って、大丈夫それ?」
最初に美希がきて次々と来る。
「ひっ……ち、血が……理さん大丈夫ですか!?」
聖が駆け寄ってきてかわいらしいハンカチで俺の顔についている血をふき取る。
「汚いですからきちんと拭かなきゃ……」
聖の叔父さん(運転手さん)が携帯で電話している。
弟はなんだか迷っている顔だった。何に迷ってんてだか知らんけど。
聖は一生懸命俺についている血をふき取っていた。
美希はなんだかつまらなさそうに見ている。
救急車のサイレンの音が聞こえて、蒼白い顔をした光が緊張した顔をした隊員に担架で運ばれていて、そこから
忘れた。ここまでが俺の三年前までの記憶。
今俺の目の前にいるのは病院のベットに眠ったままの光がいるだけ。
3年間は目を覚ましていない。

今日も此処にきている。多分明日も来るだろう。
光が目を覚ますか、死ぬときまでずっと。
そんなこんなで今日も学校だ。

       

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