Neetel Inside 文芸新都
表紙

死神のワルツ
プロローグ

見開き   最大化      

暗闇。真っ暗。ただひたすらの闇。
そのセカイではまるで暗闇が光であって日常でも在るかのごとく。
暗い闇。例えるならば深海。このセカイでは光が異常なセカイ。
そこにぼうっとした光が浮かび上がる。それは消えかけた蝋燭のような灯り。
「こんにちはぁ~」
仮面をつけた男がその光で浮かび上がる。
見えるのはピエロのような仮面と真っ黒な上半身だけ。
よく見ると仮面は二人おりピエロのような仮面と狐の仮面が居る。
「ああ、申し遅れましたが私の名前はえーと、道化でお願いします。こっちは狐です」
と、道化と名乗ったピエロの仮面が喋る。狐は先程から一言も喋っていない。
誰に向って喋っているのか。
誰にも喋っていないのか。
「さて、これから貴方にとって大きな岐路があるでしょう。どんな選択肢を取るかは貴方次第ですが、そんなときにはこの言葉を思い出してください」
道化がそう言った後今まで一言を喋らなかった狐が言葉を発した。
「唯其処に在るのみが存在理由という悲劇」
無機質なしかし少女の声色で淡々と発された言葉。
次の瞬間闇は砂丘の如く崩れ去っていった………。


     

今回の俺の任務はお姫様の護衛及び護送。
今回のお姫様はよくいる幾千と居るお姫様の一人。
決して特別でもない。
普通の至って普通のお姫様。
強いてあげるなら理不尽であるという事。
「それではお願いします傭兵さん」
王妃様がそう言って見送る。
未練がましく何度も手を振っている。
お姫様の方もちらちらと後ろを振り向いては手を振っている。
いい加減にして欲しいがまぁいい。どうせすぐ死ぬ運命だ。
お姫様はお母様には多分二度と会う事は無いだろう。
「死神に殺されるからな」
少女が触れ返ったと見たものは首が無い母親の姿だった。
「な、なんで? 首が無いの……!?」
少女は理解できないという風に呟く。
傭兵は一言返した。
「刈られたからだろ」
と。




       

表紙

征夷大将軍 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha