Neetel Inside ニートノベル
表紙

天元の輝き
3手目:気持

見開き   最大化      

「どういうつもり?」

気持ちよく休み時間をエンジョイしていたのに、よく聞き慣れた声に遮られる。
顔をあげた先には、不機嫌そうな葵が腕組をして睨んでいた。

「何の事?」
「はぁ……何であんなこと言ったの?」

あんなこと……ああ、囲碁で対決か。しかも部長に。
今考えると頭狂ってるよな、相手が部長と知らなかったのがまだ救いか。
でも、葵を家に入れさせようとするなんて。許せないな、うん。
ま、恥ずかしくてこんなこと言えないけどな。

「……囲碁がしたかったんだよ!」
「は?」

明らかに虚を突かれた感じの声を聞き、咄嗟にしてはいい言い訳だなと思った。
乗り掛かった船だ、このまま嘘を付き続けるしかない。

「そんなことなら言ってくれればよかったのに」
「ま、部長に教えてもらった方がいいからな」
「何よ、私じゃ不満っていうの?」

ほっぺをふくらませ拗ねたようにしている様を見て、俺は何とも言えない気持ちに満たされた。
このままこの表情を見ていたいけど、ここは教室だしみんなの目が気になる。

「いや、今から入る部活の部長様の力量を見ておきたいんだ」
「ふーん……ま、やる気になってくれたのなら何でもいいや」

両サイドで二つに縛っている、艶やかな茶色がかった髪を揺らし微笑んだ。


「面白いことになったよね」
「え?あぁ、若村くん……なんであんなのの挑戦に乗ったの?」
「囲碁に興味を持っている人もみんな仲間だよ」
「それにね僕は彼の好奇心から始まった冒険。ってのもいいと思うんだ」
「絶対にあなたには敵わないはずです……」
「彼だけならね?」
「へ?何を言って」
「いつも彼のことを話してるじゃないですか。彼の力になってあげてください」
「そ、そんな!私はただ……」
「じゃあ、僕も1週間後のために勉強です」


「優斗」
「ん?」

今日も一緒に帰ろうか?そんなに恥ずかしがって、いつも言ってるじゃないかよ。
もじもじした感じで、顔も少し紅潮しているのがわかる。
はっきりしねえやつだな。

「今日、家に来ない?」
「え?」

俺は自分の耳を疑った。

       

表紙

桃あいす 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha