Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      

「我々メイジが孤立してゆく生き物じゃが……原因は主に二つある。
 一つは価値観の違い。もう一つは専攻系統の複雑な違いじゃ」

「アリスは何の魔法を専攻しているのかしら?」
 華奢な体躯から綺麗な声が廊下に響いた。

「表面上は炎だと言っておるんだがの……」
「では、問題ないのでは?」

 ふむと唸った後、フラムは少し曇った顔をして言った。

「噂では……アリスが闇の魔法を調べているというのじゃ」
「闇……だって?」

「あやつは炎の研究の中でも特に他の生徒と類似性を持たない属性を研究しているのじゃ。
 かなり高度であるが故に誰も彼女の研究には関わろうとせん。
 そんなできもしない研究を好んで行う者などおらんからの」

「つまり、いきすぎた魔法は闇の要素があると誤解されてしまうわけですね」

 スーシィがマントの調子を整える。
「そういうことじゃ、現に闇と掛け合わせた魔法は強大だという噂があるしの」

「そのようなことが、本当だとすればとんでもないことです」

「そうなんじゃ、闇の魔法については知るだけで犯罪に値する。
 しかし、この学園にそのような書物があるわけないしの。
 単なる噂じゃと思うが、主らもそれとなく誤解が解けるように見ていてはくれんかの?」

 ユウトとスーシィは顔を見合わせた。
 スーシィは自分に合わせろと片目を瞑ってユウトに合図する。

「わかりました」
「それと、この件は内密じゃ。内に秘めおけ」
「「はい」」

 フラムが壁に黄金スペルを書くと、その姿は消え去り、廊下には静けさが戻った。

       

表紙
Tweet

Neetsha