Neetel Inside 文芸新都
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「あの使い魔はなに?」
「なんで授業に出てるの? ただの人間だろ?」
「魔法が使えないならどこかほっつき歩いてなさいよ」

 ユウトは散々な言われようだったが、アリスの手前でそれは無理な相談だった。
 何しろこの学園の最高責任者から面倒を頼まれてしまったのだから。


「では、この節の例題にミス・スーシィ。早速だけれど、答えられるかしら」
「はい」

 スーシィは姿勢良く立ち上がると教壇の黒板に杖をかざしてペイントスペルを唱える。
 既に用意されている魔法チョークは意味を無くしていた。

 かざした杖の先から粉が溢れるように黒板へと吹きかかり、文字と数式が浮かび上がる。

「こ、これは……」
 マジョリアは大きく目を見開いて、スーシィと黒板を見合わせた。

「す、素晴らしく優秀なのですね。試すような真似をしてしまって返って申し訳ない気がします」
「いいえ、ミス・マジョリア。
 私のような浅はかな知識でよければいつでもご指名ください。
 期待に応えられるよう精一杯努力いたしますわ」

 スーシィは最後によろしいかしらと会釈して席へもどった。

「皆さん、彼女の素晴らしい回答に盛大な拍手を!」
 マジョリアがそういうと生徒たちは皆、惜しみなく拍手を送った。ただ一人を除いて。

「ミス・レジスタル。どうしたのですか?」

 突然アリスの名前があがってアリスは一瞬明後日の方向を見てからマジョリアと視線を合わせる。

「私、今は怪我をしていて拍手をすることはできないのですが、何か問題がありましたか?」

 マジョリアは渋い顔をして言った。

「問題は行動ではなく、態度です。なぜ先ほどから視線を目の前に向けないのですか?
 私の授業がつまらないとでも?」

「(面白いわけないじゃない。演劇魔女)」
 ぼやいたアリスのすぐ後ろで、男子生徒が声高く言った。

「つまんないって言ってまあす!」
「まあ、正直なのは良いことですが、ミス・レジスタル。
 それはミス・スーシィのように勤勉であっての発言権です。次の節を解きなさい」

 寄り添うスーシィの教科書からその節を垣間見るユウト。
「……」


       

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