Neetel Inside 文芸新都
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 一の刻になった。

 アリスは食堂で満たした腹を抱えながらただくつろいでいる。
 一方ユウトはドロドロになりながら、それでも満足そうにアリスを迎えに来ていた。

「ちょ、ちょっと何なのあんた、泥臭いし獣臭いわよ」
「え、そうかあ?」

 周りの生徒たちもユウトを避けながら行き来している。
「いいからその汚れた服を脱いで体洗ってきなさい」
「でも何処かわからないよ」

 そんなやり取りをしていると、絨毯の上をスーシィが俯きながら歩いていた。

「あれ、やっぱりあなた達だったの」
「ん?」
 スーシィは顔を起こしながらユウトを見た途端眉が引きつった。

「この絨毯の汚れよ。泥が点々と落ちているし、おまけになんだか獣臭い。来なさいユウト」
 ユウトは腕をつままれて廊下を歩く。何度か角を曲がって着いた先は浴場だった。
「ユウトは人間でいうところの男だものね。温水はないでしょうけど、体は洗いなさい」
「悪いなスーシィ」
 ユウトはそう言うと惜しみなくスーシィの前で衣服を脱いだ。

「これどうすっかなあ……シーナが用意してくれたもんだけど……」
「後で自分で洗うことね。替えは持ってきて置いてあげる」
「ありがとう!」

 ユウトは素っ裸のまま浴場へと消えた。

「(逞しい肉体だったわ……あれでメイジと同等に戦うんですもの……)」
 スーシィは頬を紅潮させながらもじもじした様子でユウトの衣服を畳んで隅に置いた。
「あ、アリスを忘れていたわ」

 ――――。


       

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