Neetel Inside 文芸新都
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 すんでのところでスーシィがレジストを発動した。
「良く間に合ったなスーシィ」
「私の場合、最初の大詠唱で全てのスペルへの先行詠唱を完了させてるのよ」
「へえ、しかし、なにやら途方もない騒ぎになりそうだな」
「とりあえず、アリスを人気のないところへ移動させましょう」
 そういうと、アリスに呼びかけ後を追ってくるように言った。スーシィはユウトの背中にまたがって、廊下を走る。
「走れるのか? アリス」
「マナが奔流してる間はマナの力で動けるはずよ。肉体は関係ないわ」
「ある意味恐ろしいことだなそれは……」
 アリスが追ってくると、すぐにユウトに追いついた。
「ど、どうnaってるのよこle」
「アリス、喋らないで、魔法が発動するわ。とりあえず、ユウトの背後を追って来て」
『welrues(聖なる水)』
スーシィは廊下を水浸しにしていくが、それを背後からアリスが全て気化させて行く。
「ユウト、もっと早く走れる?」
「はいよ」
 ユウトが疾風のごとく走り出すが、アリスは全く表情を変えずについてくる。
「とんでもない熱気だわ……風上にいるのにこの速度でこの熱量はちょっと尋常じゃないわね」
スーシィの腕に力が入る。ユウトはこれ以上の速度で走れないほど走っているにも関わらず、アリスとの距離は一向に縮まらなかった。
「いい? 外へ出たら一気に飛んで振り返って。私がさっきの大型魔法をもう一度放つわ。アリスも今度は詠唱しちゃ駄目よ!」
「waかった!」
「げ」
 アリスの全身を包むようにうっすらと魔法陣が浮かび上がる。
「ユウト、やっぱりさっきの案はだめだわ」
「え、どうして」
「今、アリスの体の周りに出来た魔法陣はスペルとかむちゃくちゃだけど、この状態だと後ワンスペルで発動する。恐らく私が大魔法を撃った後に悲鳴の一つでもあげられたら相殺するほどの威力で爆発するわ」
 ユウトの後ろから蒸気をまき散らして疾走するアリス。階段も飛び降りて走る。
「じゃ、じゃあどうやって……」

       

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