Neetel Inside 文芸新都
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 食事時になると決まってユウトは森へ行く。
 ただし、夜は視界が悪いので昼に獲ったものを調理する時間となる。

「まあ、調味料はあるしね」
 使い魔専用食堂にも調味料はあった。
 何故だかわからないが、しっかりと調味料はあるのに出てくるものが保存食なのだ。

 ユウトは厨房へまわって昼の間に獲った豚っぽい動物を解体していく。
 リースは一瞬目をぱちくりとさせて見入っていた。

「リース、コレ持ってて」
 手渡した多分コショウっぽいものと、塩っぽいものの容器をリースに持たせる。
「切って肉片にしていったものにまぶしていくんだ。いいね?」
 こくりと頷くリースの目の前に第一号を置く。
 しゃかしゃか。
「ああ、加減を言い忘れた……」

 リースを止めたころには肉が粉で埋まっている状態だった。
 そんな調子でユウトとリースは厨房で勝手に食事を作るのだった。

「後はこれを火にかけるだろ。そうそう、炎じゃなくて火だよ」
 リースは加減というものをもう理解した様子で、
 ユウトが教えなくてもだいたいの行動は間違いがなくなってきていた。

「そして良い匂いがしてくるまで待つ。待つことは大事なんだ」
「待つ」

 食堂に現れ出す使い魔たちは共食いにでも当たるのか、あまりこちらの料理に興味はないようだった。

「リースは今までここの固形食しか食べたことないの?」
 こくと頷く。

「口に合わなかったらごめんね」
 ふるふると首を横に振るリースははっとした顔になって動きを止める。
「?」
 時々リースはしぐさのいちいちに何かを気にしているようだった。
 ユウトは取り立てて気にはならなかったが、それよりもリースの知性は高いのに知識はほとんどないことに驚いていた。

(どう考えてもあの金髪男のせいだよなあ……)
 そう考えているとリースがユウトの肩をつついた。

       

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