Neetel Inside 文芸新都
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「まあ、そんなことよりアリス。決闘がこの学園において何を意味するのかは知ってるんでしょうね」
 アリスは一つため息を吐いた後に頷いた。
「退学――というか、追放ね。
 同じ学舎で学ぶ者同士が魔法で戦ったとなれば、
 それはメイジの思想に対する反逆行為みたいなものだもの」

「じゃあ一つ聞くけど、あなたそれでいいの?」
「?」
 アリスは何を言ってるかわからないと言った様子で沈黙が流れた。

「私があなたに一度だけ使ったレビテーションは誰の目にも触れていなかったのに学園長は知っていたわ。
 つまり、この学園内で魔法を使ったものはすぐに特定できるシステムが出来上がっている」
「じゃあ……今夜の決闘でもし魔法を使ったりしたらすぐにバレるってことか」

 アリスはくすくすと笑って答えた。
「私は魔法なんか使わないわよ。使うとしたらカイン(あいつ)が先。
 そうしたらもう決闘なんてどうでもいいわ。後はあいつが学園を追放されるんだもの」
 アリスの考えはこうだ。決闘が始まったらカインを罵倒して挑発する。
 怒ったカインが魔法を放ったらアリスは逃げる。戦いは放棄し、カインは翌日にでも追放処分というわけだ。

「待て、じゃあ見てるだけって言ったのは……」
「もちろん、魔法を使わないために決まってるじゃない」
 アリスは魔法を使わないと言い切った。ところが、スーシィにはそれが妙に感じた。


 ユウトはアリスと食堂へ行く。
 ここフラメィン学園では雨の日は使い魔と主であるメイジが食事を共にするという習慣があるようだ。
 窓の外では雨が砂をまくように降っている。

「ちょっと楽しみだな」
「あんまりみっともない真似はしないでよね」

 外が土砂降りでも学園の中は暖かい光りで立ち籠めていた。
 石造りの廊下が絨毯の端で煌めき、天井は魔法細工によって動く彫刻が彫られている。

 食堂の入り口は果てしなく大きかった。
 一体学園のどこにこんなスペースがあるのかというほど広く、そして天井が高い。
「……」
「なにぼさっとしてるの、置いてくわよ」

 いつもならここでスーシィが待っていてくれるが、
 脚を怪我しているため自室で食事だという。
 どこまでもアリスとは違う処遇にアリスは気にすることをやめたようだった。

       

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