Neetel Inside 文芸新都
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「よしよし、ホエイは上品ね」
 桃色の髪をした女の子のメイジがそういっていた。自然とアリスを見比べてしまう。

「あによ。あんたまさか食べさせてほしいとか言い出さないでしょうね」
「は――えっ――そんなこというわけないだろう」

 スーシィ、シーナ、この子といい、
この世界の女性は優しい人が多いのにアリスだけは極めて対照的だと思った。
「そこまで動揺することないでしょ、ま、頼まれてもやってあげないけど」
 そういうとアリスは自分の食事にもどった。
 アリスは少し動揺しているようだった。


 食事が終わるとアリスは真っ直ぐエントランスへと向かった。
 ユウトも新しい剣の感触を確かめながらアリスの後ろを行く。

 十の刻は本来就寝だが使い魔食堂までの道は十二の刻まで空いている。
 夜行性の使い魔のためだとアリスはいう。
 ところどころ水たまりになっているのか、慎重に歩かなければ足下が見えず転んでしまいそうだった。

「あそこよ」
 食堂裏にぼんやりみえる灯りはカインのものだった。そばにいくとリースの姿もある。

「やあ、アリス。てっきり怖じ気づいて来ないと思ってた」
「ふん、そんなのは私も思ってたことよ」
 カインは顔を引きつらせて言う。

「面白い。それじゃあ一つ賭けといこう。勝った方は負けた方の使い魔を頂く」
 アリスが硬直するのがわかった。
「なんだ、自信があるんじゃなかったのか、
 それとも僕程度に負けてしまうほど弱気なのかアリスは」

 はははと笑うカインにユウトは苛立ちを覚えたが即答されても複雑な気分だった。

「いいわよ……」
 落ち着いた口調でアリスが言う。
「え? なんだって?」

「いいわ、その条件、乗るわ」
「はっ、いいね。これなら本気でやれる。
 人型の使い魔を二匹も従えることができれば僕は最強だ」

 リースとユウトを残してカインとアリスは離れていく。
「ま、まぢか…」
 ユウトはリースと対峙する格好になってしまった。

       

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