『…………』
観客の歓声や声援はなかった。
皆、ユウトのあまりの強さに唖然としていた。
ユウトは分割されたオークを尻目に会場を後にした。
足場はじゃりじゃりとした砂からコツコツと石畳みの音に変わり、会場から完全に隠れたことを確認する。
「……ひゃっほ―い!」
ユウトは部屋に戻ると飛び跳ねて喜んだ。
普段はあまりメイジの目には触れることのない命がけの試合(コロシアム)に立ち会ったメイジ達の顔は皆、蒼白だった。
ユウトにとってそれは何とも言えない快感だったのだ。
「圧勝でしたね」
微笑みかけてきた美少女の姿は先刻の案内人だった。
「見た? 俺のずばばばーんってどぱーって」
「はい、ちゃんと見ましたからその汚れた服を脱いで貰いますよ。
今日はあの人から大事なお知らせがあるそうですから」