「アリス、何もそこまで怒らなくても……」
「うるさいっ」
もしかしたら友達になれるかもしれないと思ったのに……。
アリスもまた目を赤くして涙ぐんでいた。
黙ってユウトに会いに来たことが許せなかったのだ。
ユウトとリースは顔を見合わせて言葉を失った。
校舎の裏、人気のない場所でさめざめと泣く少女の姿があった。
「ずいぶん派手に嫌われたみたいね」
ユウトと同じ黒髪を舞わせながらスーシィが目の前にいた。
「ユウトと面識があるらしいわね?」
「……っ」
やれやれと肩を竦めるスーシィはシーナの横にそっと座った。
「四年間も一緒にいたのっ、せっかく……また会えたのにっ」
「やっぱり……知ってるわ」
「えっ?」
スーシィは微笑んで言った。
「ユウトを取り戻す手伝いをしてもいいわよ」
シーナの顔は驚きに変わった。
――次の日。
ユウトは自分のシャツがやけに暑苦しいのを感じて目が覚めた。
軒下に差し込む日の光りはユウトのベッドに燦々と照りつけられている。
「ふぁあ……」
いつもならここでスーシィの体を意識してしまうのだが、今日はそれがない。
「……?」
部屋を見回してみても特に変わりはなく、ユウトはベッドから降りて着替えを始めた。
コンコン。
小気味良い音が響き、ユウトは着替えが終わると同時に入り口へ向かう。
「ん、おはよう」
一瞬スーシィかと思ったユウトだったが、予想は裏切られて目の前にはアリスがいた。
「ぐずぐずしてないで、行くわよ」
やはり昨日のことを怒っているのだろうか、アリスはおはようもなしに歩き始めた。
ユウトは複雑な気分になると同時にシーナのことも心配した。
「…………」