「あはは……」
二人は放したばかりの動物たちを追って森へ駆けるのだった。
「もう、信じらんない!」
アリスが目を覚ましたのは、いつもより少し早めの六の刻だった。
そばには書き置きで、『お腹が空いたのでちょっと行ってくる』と書かれたメモ。
「どこに行くっていうのよ。食堂はどっちも閉まってるでしょ」
アリスはユウトが森で狩りをしていることを知らなかった。
最近はシーナとかいう油断ならない相手もいる。
ユウトをこれ以上自由にしておいたのでは、
いつまたスーシィのときのように契約を勝手に上書きされるかわかったものではない。
アリスはそんなことを思いながら気を揉むのであった。
しばらくして、アリスはふと自分がまだベッドの中いることに気がついた。
「しまったわ!」
気づけば八の刻を過ぎている。
アリスは急いで身支度を整えた。
やることがなかったのは事実だったが、二度寝をしたのは初めての経験だ。
今は白色の髪を梳いている時間はない。
勢いよくドアを開け放つと、見知った顔が二つ並んで廊下の向こう側にいた。
「ふん、何よ。私を治したら後はどう振る舞ってもいいけど、
よりにもよってあの子と仲良くするなんて」
アリスの数メイル先にはスーシィとシーナが並んで歩いていた。
そこをアリスは走って通り抜ける。
階段を降りて、再び廊下に出ると、生徒の数がぎっしりとあった。
「今日は、何の日だったかしら……」
いつもはもう授業が始まる直前で、誰もいない廊下なはずなのにとアリスは思う。
そういえば、スーシィとシーナも急ぐ様子なく歩いていた。
「とりあえず、たまたま遅刻にならずに済んだみたいね……」
アリスはこの時気づいていなかった。
今日はメィンメイジの二学年、つまりアリスの一学年上の上級生と合同の授業だったのである。
廊下に生徒が出ているのは、教室内で先生たちが魔法の扉を繋げているためだ。
ところがアリスはこのことを知らない。