Neetel Inside 文芸新都
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「…………」
 ユウトの反応は無かった。
 ただ、最後に手のひらをぎゅっと握ってくれただけ。
 シーナとスーシィの前に一歩出るアリス。

 ちらちらと後ろのユウトに目配せながらシーナを見る。
 シーナは笑うでも怒るでもなくそこにいた。

「そ、その……ご、ごめん……なさい」
 アリスはなんとかその台詞を口に出せていた。
 恐る恐るその頭をもたげると、シーナがにこやかに頷く顔がそこにあった。
 そして両端でひそかに溜息をつくユウトとスーシィの姿があった。

 校舎の鐘が鳴る。

 
 準備をようやく終えた先生が教室から出てきた。
 その姿は薄緑色のマントと帽子、それに白色の刺繍が軽いタッチで描かれていた。
「これより、進級クエストを行うにあたっての授業、及び予行演習を行います」
 ざわめいていた廊下がしんと静まりかえる。

「私、ロ・ミラジャ・ゲーツ・ベル=ロジャーが今年度のメィンメイジ一学年のクエストを担当することとなりました。
 さし当たっては去年の進級試験で告知した通り、
 上級生とあなた方の複数人数でこの授業を受けて頂きます」

「え!」

 アリスは思わず声を上げて驚いた。
 そしてそれは大いに注目の的となってしまった。

「? 誰ですか、今間抜けな声を上げたのは」

 進級試験を受けるにあたっての重要な授業を前に、
 アリスのような間の抜けた態度は誰にとっても許せるものではなかった。
 張り詰めた空気の中、アリスは額にうっすらと汗を掻いた。

「よろしい、三分の一が留年・半死する今回の試験では今のような者は生き残れないと心得なさい。
 授業の説明を始めます」

 一.今回の進級試験は点数制であること。
 二.クエストを行い、その難易度に応じて点数が配点されること。
 三.二学年になるには冬の終わり(グロイア)までに500ポイント必要だということ。
 四.クエストは週に一度だけ受けられ、各教室で行う。自分の教室以外では受けられないということ。
 五.初回の今回に限り、二学年の協力を経て、共にクエストをするということ。
 六.週末に減点方式のテストがあるということ。
 七.進行状況に応じて、ルール追加もあるので掲示板を確認とのこと。

       

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