全てを説明し終えると、ロジャーは生徒全員にポイントカードを配った。
淡いマントを翻して廊下を去っていく。
ここから先は自主性に任せるということだ。
「どうしろっていうのよ……」
アリスはわかっていなかった。手に握られたポイントカードを見つめる。
赤い文字で0と記されたそれは何だか溜めてみたい気分にはなってくる。
「ただクエストをこなすよりは解りやすくていいですね」
シーナが微笑ながら言った。
生徒達は皆、真っ直ぐ教室には行かず、上級生との待ち合い場所へ向かっている。
「じょ、上級生と一緒なんて聞いてないわ。シーナ、知ってた?」
「いいえ、私が説明を受けたのは授業と部屋のことだけです。
授業自体、スーシィさんに聞くまで知りませんでしたよ」
「あー、それについてだけど、私が任されてるわ」
スーシィはきっぱりとした態度で言った。
「任されてるって? 誰に」
「フラム先生ね、園長室に来いって言っていたわ」
「…………」
園長室の前は閑散としており、
流石にこの辺りを待ち合いに選んだ生徒はいないようだった。
――コンコン。
「失礼します」
アリスが扉を叩いて中へと入る。
続いてシーナ、スーシィ、ユウト、リースと続いた。
「久しぶりじゃのう、アリス」
フラムは機嫌が良いのか、快く五人を迎えた。
白いマントと白い髭、年寄り臭さが少し鼻につく。
「お久しぶりです、大先生。
今日は試験についてやって参りました」
園長の横に並ぶ顔に見知った者がいたが、アリスはあえて無視して続けた。
「ふむ、スーシィに言われ、皆ここまで足を運んだのじゃろう。少し待つと良い」
皆が各々に腰掛けていると、目の前にいた金髪の男は口を開いた。
「見ない顔だね、編入生?」
男はキザっぽい口調でシーナに言う。