Neetel Inside 文芸新都
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4の使い魔たち
光りの魔法

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 ユウトは全身に弾けるような衝撃を受けた。
 続いて地響きのような音が辺りに駆け巡り、ユウトの意志とは全く関係なく体が吹き飛んだ。
「っ――」
 どぉおお……。ユウトは飛ばされながらも、反響する音で洞窟の中だと知る。

「きゃぁああ――」
 続いて第二の衝撃がユウトを襲った。
 咄嗟に人だと思い、ユウトは腕にその影を受け止める。

「きゃあっ――」
 第三の衝撃はユウトの身を掠めて、数メイル先で転がった。
 ユウトは自分の体がじんじんするのを堪えて、腕の中で呻く少女を起こした。
「ん――」
「シーナ?」
 シーナはゆっくりと起き上がると、暗がりで囁くように言った。
「ゆ、ユウト……な、なんですかここは?」

 ひしと抱きつかれるユウト。シーナは暗いところが嫌いだった。
「ユウト、コレは一体どういうこと?」
「え?」

 ユウトはアリスの声がする方をぎょっとして見やる。
「ご、ごめん」
「は? なにが」
 慌ててアリスの声の方に振り返ったが、どうやら見えていないらしい。
 辺りは暗く、生き物の気配もない。

「……ダンジョンなんじゃないかな」
「――もう、そうじゃないわよ。あいつ(スバル)はケルロスの『丘』って言ってたでしょ。
 どう考えてもここがダンジョンなのが問題なの」
 広さは結構あるようで、音が良く響く。
 アリスの怒声が耳に痛い。

「ご、ごめんなさい。私、気が動転してて……」
「大丈夫か?」
「はい」
「…………」
 シーナは静かにユウトから離れると気を逸らすように辺りを見回す。
「真っ暗ですね」
「hyeli isscula」
 ――パン。という音がなるとアリスの杖が光り、姿がはっきりと浮かび上がる。
 と同時にシーナの怯えた顔も徐々に戻った。

「とにかく先に行きましょう」
 アリスの杖は煌々と輝いているが、洞窟の壁は見えない。
 それほど広いということだろう。

「お、おう」
 ユウトとシーナは顔を見合わせてアリスに続くのだった。


       

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