Neetel Inside 文芸新都
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「ありがと」
「いいえ」

 シーナとの出会ったのはかれこれ四年前になる。
 今ではユウトの身の回りを世話しているが、決して許嫁でもメイドでもない。

 彼女自身四年前から過去の記憶を失っており、名前以外は今でもわからない。

 外見は平民やメイジにはないミント色をした目に薄蒼色の髪が特徴的で、
 ユウトの黒髪、黒目もただの人ではない為、今の二人はそんな境遇から仲良くなったとも言えた。

 ただ、友達関係とは言い難い一面も多々あったりする……。



 ――コンコン。


 あまり光の差し込まない簡素な部屋にノックの音が聞こえる。
 ユウトは立ち上がるとドアに近づく。

 まずい、緊張してきた。

 ユウトの手がノブにかかる前にドアは開かれた。
 そこには黒服を纏った老人が立っている。

 ユウトを養い、師でもあった人。

 その老人はゆっくりと口を動かした。

「今日で契約は終わった。おめでとう。あるべきメイジの元へ帰りなさい」
「――? どういうことですか」

       

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Neetsha