Neetel Inside 文芸新都
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4の使い魔たち
シーナとスーシィのもくろみ

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「悪いけど、本人に聞いてくれ」
「はあ? あんた私の使い魔でしょ、教えなさいよっ」
 誰のおかげでこんなに疲れているのかと言いたくなったユウトはその言葉を飲み込んだ。

「アリス、あなたユウトを酷使しすぎよ。明らかにストレスも溜まってるわ。
 さ、行きましょうユウト。部屋まで連れて行ってあげる」

 スーシィはすかさずフォローに入ってくれたが、そろそろユウトも限界だった。
 下手をすれば、アリスに酷いことを言ってしまいそうだった。
 スーシィの華奢な体に引かれてユウトは去っていく。

「あによ、いいわよ。別に気にならないわ」
 アリスは今回のクエストでやったことといえば、
 ひたすら光りの魔法を使っていたことくらいしかない。
 不完全燃焼という感じが、またアリスをもやもやとさせていた。

 踵を返すと、既に帰るところであったカインと目があった。
「悪いがアリス、リースは返して貰うぞ。僕も進級試験は受けたいんでね」
「何言ってるのよカイン。あんたは勝負に負けたんだからそんな権利はないのよ」
 言っていることは滅茶苦茶だった。当然、そんな義務はない。

「あの決闘は結局先生たちにバレただろ?
 あんなうやむやになった決闘で自分が勝ったつもりでいたのか?
 ……まぁ、それはいい。だが、次のクエストを受けるにはリースを預けておくわけにはいかない」
 
 条件に従う以上は使い魔を手放すわけにいかないとカインは歩いて行った。
「条件?」
 アリスはそれを確かめるべく廊下の踊り場、
 そこの掲示板にクエストを受ける条件というのを見た。

『次回以降のクエストでは使い魔の同伴を絶対とします』
 教室の廊下、踊り場の一角にそれはかかげられていた。
 使い魔の同伴……?
 他の生徒たちも今更の注意書きに訝しげだった。

 シーナへ対する注意書きなのだろうか?
 だがそもそも、あれほど才能のある彼女が、使い魔を持たない理由が思い当たらない。

『補足1:使い魔は貸りることも可能とします』
『補足2:使い魔がいない場合でのクエストはペナルティを課します』

 アリスは不思議に思うと同時にユウトがそばにいないことを思い出した。
「後で話せばいっか……別に心配なんかしてないし」
 アリスは溜息をついて軽く肩をまわす。
 このまま部屋へもどって休もうかとも思ったが、アリスは今回のクエストの反省点を思い返す。

       

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